強豪に勝てるところまでは示せなかったが…
課題は出たが悲観するほどでもないと思う。あれだけ攻め込まれて1点に抑えられたという見方もできる。ディフェンスラインの前でプレスがかからないなら、シンプルにディフェンスラインの枚数を増やす対処も考えられる。
まずは奪ったボールを失わずにキープして流れを変えること。スペイン戦のように相手が保持する時間が続いたら割り切って守る。5バックにするなど後方で奪う体勢を整える。自陣からつなぐのが難しくても、前田大然という切り札が使えるのでカウンターはできる。強豪に確実に勝てるというところまでは示せなかったが、現状でも勝負にはなっている。
ホンジュラス、スペインとの強化試合は本番への調整が第一だった。中2日で試合が続く東京五輪は文字通りの総力戦になると予想されるからだ。GK鈴木彩艶と三笘薫を除くすべての選手がプレーしたのは良かった。負傷していた上田綺世を実戦投入できたのも好材料だ。
久保建英の突破から堂安律のシュートで奪った1点は、どんな相手からでもゴールを奪える可能性を感じさせた。後半に三好康児がライン間でパスを受けてターンし、マークを振り切って上田へ通したスルーパスも惜しかった。
珍しく守勢に追い込まれる展開だったが、その中でも得点をとりチャンスも作れた。ホンジュラス戦ではペース配分の失敗として浮上していたキープ力不足は、スペイン戦では一方的に押し込まれる形として表れたわけだが、それでもドローに持ち込めたのだから悪い結果ではない。
(文:西部謙司)
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