リーダーに必要な性質とは…
ブレグジットや、社会正義をめぐる抗議活動、新型コロナウイルスなど様々な要因による分断と衝突が絶えない時代のイングランドにあって、常に冷静さと他者への敬意を失わず、威厳と知性を感じさせるサウスゲートは称賛を集める存在となった。2018年ロシアワールドカップではイングランド代表を準決勝進出に導き、今週末にはユーロ2020決勝でイタリア代表と激突する。
「過去数年間、この国のリーダーたちはレベルの低さばかりが目立った。だがあの男を見てみると、リーダーに必要な全てが揃っている。礼儀正しく謙虚であり、誠実で嘘を吐かない。ガレス・サウスゲートという男は本当に最高だ。まさに驚異的だ。そして素晴らしい仕事をしてきた」。水曜夜のデンマーク戦にイングランドが2-1の勝利を収めたあと、元マンチェスター・ユナイテッドとイングランド代表のDFであり、現在テレビ解説者を務めるガリー・ネビルはそう話していた。
監督の言動は選手たちにも伝わり、現在のイングランド代表は近年で最も団結力があり最も好感の持てるチームのひとつとなっている。過去には名前で選ばれた選手たちが、個人として優れた才能を持つスター選手であることは確かだとしても、一人ひとりの能力の合計値を上回るチームを生み出すことはできないというケースがあまりにも多すぎた。
それを変えたのは、サウスゲート監督の対人スキルに他ならない。ファンからはジャック・グリーリッシュやジェイドン・サンチョといった選手たちをもっと先発起用すべきだという声も盛んに上がっているが、選手たち自身は監督の決定を全面的に理解しているように感じられる。
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