イングランド代表の強さとは?
ハイプレスで相手を押し込み、華麗なコンビネーションでゴールを奪うサッカーを面白いと定義するならば、イングランド代表のサッカーはつまらない。ただ、たとえつまらなかったとしてもイングランド代表は強い。
中盤の底にはカルビン・フィリップスとデクラン・ライスというカバーリングや対人守備に長けたMFを置き、スターリングのように突破力の優れたウイングを置く。十八番ともいえるセットプレーと、ニアゾーンからのクロスという得点パターンを確立した。この試合で始めて失点したが、90分で1点でも取れれば、少なくとも負けることはない。
2012年大会を制したスペイン代表は6試合で1失点と守備が堅かった。パスワークが注目を集めたが、ボール保持率を高めることで相手の攻撃回数を減らしたのが効いていた。アプローチは異なるが、失点をしないという意味では今回のイングランド代表にも共通する。決勝進出は決して偶然などではない。
消耗を防ぎながら辛抱強く戦い、失点をしない。それが大会制覇の条件ならば、今回のイングランド代表は優勝するに相応しいチームなのかもしれない。勝ち続けるチームのサッカーは興味深い。
(文:加藤健一)
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