イングランド代表が“塩試合”を演じた理由
「我々は知っている。適切なタイミングで選手を休ませようとしながら、7試合を通したチーム編成がとても重要だということをね。その事例について、我々はロシアから多くのことを学んだ」
サウスゲイト監督は、ユーロのようなビッグトーナメントを戦い抜くには、全7試合を意識したチーム編成と、選手のコンディション管理が重要だということを、4位という結果を残したロシアワールドカップから学んだという。言い換えると、7試合という長丁場で選手のコンディションを適切に管理することから逆算してチームを編成した、といったところだろうか。
そもそも負傷していたマグワイアを招集したのも、単にグループリーグの3試合だけでなく、全7試合を意識したコンディショニングが念頭にあったからだろう。事実、マンチェスター・ユナイテッド所属のCBは大会中に戦列に復帰し、グループ3戦目のチェコ戦からフル出場を続けて無失点勝利に貢献している。
そして、その全7試合を意識したコンディション管理の延長線上に、“意図的に塩試合を演出する”という戦略があるのではないか。適切にコンディションを管理しようとするならば、派手な打ち合いや延長戦を含む120分を戦い抜いた上でのPK戦など、消耗戦は避けたいところだ。
もちろん、試合ごとに選手を大幅に入れ替えながら戦えればよいが、クラブレベルならともかく、練習に十分な時間が取れない代表チームで抜本的なローテーションを組むのは難しい。このように代表チームは、ある程度同一のメンバーを維持して戦わざるを得ない。