試合を大きく変えたワンプレーとは?
神谷にプレッシャーをかけにいったマルコス・ジュニオールの左足が神谷の左足を踏む形になり、谷本涼主審はオンフィールドレビューの結果、レッドカードを提示。横浜FMは前半のうちから数的不利を強いられたのだ。
これで柏が圧倒的優位に立つかと思われたが、攻守両面でキーマンになっていた神谷が負傷してしまったことでリズムが崩れてしまう。「予想外だったのが神谷の離脱。いい守備から攻撃に出て行ったり、前線2枚にフィードする形もできていたので、大きな痛手だった」とネルシーニョ監督も頭を抱えたように、形成は明らかに逆転した。
横浜FMの方は強気で前に出ていくシーンが多くなり、チーム全体が高い位置を取るようになった。オナイウも「前半で数的不利になったけど、そこでみんな慌てることなく、『自分たちならできるよ』と意識してやれていましたし、ハーフタイムにしっかりと整理できた」と前向きにコメント。自信を持った状態で戦い続けることができた。
彼らの攻撃的姿勢が顕著に表れたのが、後半開始の交代だろう。0-0の拮抗した状況の中、松永監督はエウベルに代えて喜田拓也を投入。4-3-2の布陣に変更した。
「1人少なくなった時に対応しがちなのが、4-4-1のスタイル。それをあえて4-3-2にして『攻撃的スタイルは変更しない』という意図をもってやりました」
選手たちは指揮官のメッセージを確実に受け取り、ピッチ上で実践する。数的不利をまるで感じさせない勇敢な戦いぶりを見せ続け、後半31分の先制点に結びつけた。途中出場のティーラトンが精度の高いロングパスを前線へ供給したのが始まりだった。
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