UEFAユーロ2020(欧州選手権)・準々決勝、スイス代表対スペイン代表が現地時間2日に行われ、PK戦の末スペイン代表がベスト4へと駒を進めている。ラウンド16で優勝候補筆頭のフランス代表を下したスイス代表に、ルイス・エンリケ監督率いるチームはなぜ勝てたのだろうか。(文:小澤祐作)
スムーズではなかったが…
コーナーキックの流れからジョルディ・アルバにボールが渡ると、同選手は迷わずミドルシュートを選択。するとこれがデニス・ザカリアに当たり、シュートはゴールの中に吸い込まれていった。開始わずか8分の出来事である。
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早々に思わぬ形で動いたこの試合は、結果的にかなり激しくハードな展開となる。とくにスイス代表のイレブンは、今出せるすべてのものを出し切ったと言えるだろう。
ラウンド16でクロアチア代表との死闘を制したスペイン代表にとっては、再び難しい試合となった。スイス代表はこれまでのベースとなっていた3バックではなく、4-2-3-1の形をとり、マンツーマンで対応してきている。スペイン代表はインサイドハーフのコケとペドリが動いて相手のダブルボランチを広げ、そこにできたスペースへセンターFWのアルバロ・モラタが入り楔のパスを打ち込む、ということを繰り返したが、その後の展開をスムーズに行えなかった。
しかし、スペイン代表にとって幸運だったのは、上記した8分の先制ゴールがあったことだ。それによりリードを得ているため、攻撃をあまり急ぐ必要がなかったのである。追加点を奪えればもちろん最高だったが、ボールをしっかりと保持し時間を進めるということ自体は決して悪くなかった。
スイス代表は立ち上がりにブレール・エンボロが負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われ、さらにこの日は累積警告によりグラニト・ジャカが不在だった。その影響もあり、なかなか効果的なカウンターを発揮できず。前半は、ややスペイン代表が優勢を保ちながら終えることになった。
しかし、スペイン代表は後半、一転して相手に流れを与えることになる。