ベルギー代表が抱えていた問題とは?
ベルギー代表はあまり高い位置からプレスをかけず、コンパクトな陣形で守っていた。イタリア代表はボールを持つと、左サイドバックのレオナルド・スピナッツォーラを高い位置に上げて3バックへと変形する。幅を取るのはスピナッツォーラと右ウイングのフェデリコ・キエーザ。左ウイングのインシーニェは押し出されるようにハーフスペースよりに位置を取ることが多かった。
ベルギー代表はDFラインの前をアクセル・ヴィツェルとユーリ・ティーレマンスの2人で守っている。イタリア代表はそこに2人のインサイドハーフとインシーニェをぶつけてきた。この3人のうち1人がサイドに開けば、ヴィツェルかティーレマンスはつり出される。そこで生まれた中央のスペースをイタリア代表は使うことができた。
その穴が顕著に現れたのが44分のシーン。インシーニェはハーフウェイ付近でボールを受けて、ドリブルでティーレマンスをかわす。さらにカットインしてきたが、ベルギー代表のDFラインの前はがら空きだった。トビー・アルデルワイレルドは間合いを詰め切れず、インシーニェのシュートは名手ティボー・クルトワをもってしても防ぐのは難しいコースに飛び、ファーサイドを巻くようにゴールに吸い込まれた。
ティーレマンスの軽い守備も問題だが、抜かれた後のDF陣の対応もまずい。イタリア代表の3トップに対して5人で守っているにもかかわらず、誰も間合いを詰めることができなかった。2失点目が代表するように、DFラインの前のスペースを突かれたとき、ベルギー代表はことごとくピンチになっていた。
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