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EURO2020 3年前

クロアチア代表の“勇敢なる死に様”。スペイン代表を最後まで苦しめた2つの要因とは?【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

スペイン代表のミスを誘った特殊な戦い方



 1つは、少し特殊な守備ブロックだ。スペイン代表に対して、クロアチア代表は[4-5-1]の守備ブロックを形成。中盤を厚くして敵のインサイドのコケとペドリを、マテオ・コバチッチ、マルセロ・ブロゾビッチ、モドリッチらがケアしつつ、[5]の左右両サイドのアンテ・レビッチとニコラ・ヴラシッチが下がりながら、敵のSBが高い位置を取ってくるサイドのスペースを埋めようとした。

 始めから最終ラインを5バックにする一般的な[5-4-1]や[5-3-2]ではなく、まず中盤を厚くしてから最終ラインの人数を増減させる守り方である。

 試合後にモドリッチが「ラッキーなゴール」と言った先制点は、ペドリのバックパスをGKウナイ・シモンがトラップミスして生まれたものだ。ではなぜペドリがバックパスを選択したのかというと、クロアチア代表が前述のような中盤を厚くする守備をし、ブロゾビッチのプレッシャーを受けたからである。特にペドリに対しては、その後もモドリッチやブロゾビッチが徹底してマークに付き、この“スペインの新星”をかなり警戒していたようだ。

 もちろん、それから2失点しているので、この[4-5-1]の守備が鉄壁だったわけではない。だが、この「ラッキー」な先制点が生まれなければ、85分と91分に2点を奪ったとしても敗退していた。この少し特殊な守備ブロックは、クロアチアがスペインに食らい付いた要因の1つと言えるだろう。

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