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EURO2020 3年前

フランス代表、MVPは2ゴールのベンゼマではない!? 一瞬で相手を破壊、一人だけ違った男とは【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

それでも取ってしまう2点。立役者は…



 この日のスター・オブ・ザ・マッチにはベンゼマが選出されている。PK含め2ゴールを奪ったので、不思議な結果ではない。しかし、フランス代表からであればこの男が選ばれてもおかしくなかった。ポグバだ。先述した通りレ・ブルーは一瞬でゴールを奪ったが、それを演出したのがまさに背番号6だった。

 ポグバはポルトガル代表戦でもビルドアップの中心としてよくボールに触れ、よく捌いた。頻繁に動き回って、というタイプではないが、恵まれた体格と技術力の高さを融合させたキープ力は圧巻。パスの収め所として、絶大な安心感を与えた。

 チーム全体として攻撃のクリエイティビティを欠いていたフランス代表だが、ポグバだけは少し違った。前半にはエムバペへ絶妙なスルーパスを通し、GKとの1対1を創出。そして後半にはベンゼマへ目の覚めるようなパスを送り、アシストを記録している。まさに一瞬の出来事であった。

 67分のシーンは圧巻。ペナルティーエリア手前でベンゼマのパスを受けると足裏でコントロールして相手を剥がしカーブをかけてシュート。ボールはGKルイ・パトリシオの好セーブに遭ったが、ポグバのセンスがすべて詰まっていた。

 データサイト『Who Scored』のスタッツによると、ポグバはこの日チーム最多99本のパスを出し成功率97%、キーパスもチーム最多の3本を出し、アシスト一つを記録。シュートも2本放つなど、申し分ない出来だった。

 ポグバの動きを見ていると、ボールを持っていない状態でも常に前線を確認していることがわかる。その時点でその後の展開をしっかりとイメージしているのだろう。だからこそ、スムーズに効果的なパスをバシバシ差し込める。

 また、フランス代表におけるポグバは、横にエンゴロ・カンテという世界最高のボールハンターがいることで、よりのびのびとプレーしている印象を受ける。決勝トーナメントでも、背番号6の輝きは欠かせぬものとなるだろう。

(文:小澤祐作)

【了】

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