ハンガリー代表戦でも見られたフランス代表の欠点
その欠点とは、ポゼッション時のクオリティーである。
フランス代表は先述した通り4-2-3-1でこの試合に臨んでいる。ワントップにベンゼマ、両サイドにキリアン・エムバペとトリッソ、そしてトップ下にアントワーヌ・グリーズマンという前線の並びである。
基本的に中盤底の一角を担うポール・ポグバが中心となってビルドアップを進めるフランス代表だが、ここで起きる問題はライン間でボールを受けられる選手が少ないという点だ。
トップ下のグリーズマンは比較的自由に動くが、基本的に狭いライン間に留まる時間は少なく、ポルトガル代表戦では相手インサイドハーフの脇、あるいはサイドに流れ、比較的余裕を持ってボールを受けることが多かった。そうなると、ライン間で仕事できる選手はベンゼマしかいなくなる。エムバペは中央に入って来るが、ご存じの通り狙いは相手背後のスペースに定めている。
ライン間に効果的にパスを差し込めないフランス代表は必然的にサイドからの攻めが増えるのだが、サイドバックとサイドハーフの関係性はあまり良くない。とくにこの日先発に抜擢されたクンデは、やはり他の選手との連係が曖昧で、深い位置まで侵入するも攻撃を完結できないことが多かった。
こうして無難なパスが多くなり、その間に相手は守備ブロックをどんどん押し上げてコンパクトになる。崩しの難易度はさらに高くなり、強引に縦パスを入れてもやはりすぐに捕まってしまう。苦労したハンガリー代表戦と同じだった。
しかし、フランス代表にはとてつもない一発がある。ハンガリー代表戦もそうだったが、このポルトガル代表戦でもほんの一瞬でスコアを動かしている。攻撃が全然うまくいっていなくても点が取れてしまうというのは、少し「ズルい」と思ってしまうほど大きな武器である。