迫力不足のモラタとその周囲
DFラインを低く設定する相手を崩す常套手段がある。ペップ・グアルディオラ監督やミケル・アルテタ監督は、ポケットと呼ばれるゴール脇への侵入をよく使う。斜めの動きでDFラインの裏を取り、ここにスルーパスを送るとだいたい相手のセンターバックがつり出される。ポケットからゴール前に折り返すと、ゴール前のDFは後ろ向きで対応しなければならなくなる。
味方にボールが合えば決定機になるし、合わなくてもオウンゴールになる可能性がある。ポルトガル代表対ドイツ代表では2つのオウンゴールが生まれているが、ともにポケットからゴール前への折り返しから生まれている。押し込んでいたわけではないが、この位置からゴールが生まれやすいというのは同じである。
この試合のモラタのパフォーマンスには疑問が残った。ゴールを決めてはいるが、試合を通して相手に脅威を与えていたとは言いづらい。頻繁に降りてきてボールを引き出そうとしていたが、両ウイングとペドリがライン間でのプレーを得意とするタイプだったため、彼らのポジションが重なってしまった。スペイン代表はDFラインの背後を取れる選手がいなくなり、ポケットへの侵入がままならなかった。モラタ1人の責任ではないが、前線が噛み合ってなかったことは確かだった。
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