なぜポルトガルは3点を奪いフランスは1点に?
後半に入ってもなかなか点を奪えないフランス代表は、途中よりシステムを4-3-3から4-2-3-1へと変更している。そしてその数分後、アントワーヌ・グリーズマンがゴールを奪いようやく同点に追いつくことができた。
しかし、そこから再び苦戦。結局、1-1としてからの約25分間、レ・ブルーはハンガリー代表を押し込むも、追加点を奪うには至らなかった。
第1戦でハンガリー代表と対戦したポルトガル代表は、彼らから3点を奪っている。先述した通り、ロッシ監督率いるチームの戦い方はその試合から大きく変わっていない。では、なぜフランス代表は1得点に留まったのか。
ポルトガル代表も序盤から順調だったわけではなく、先制点を奪ったのは80分過ぎのことだった。流れが変わったのはレナト・サンチェスの投入。同選手がやや高い位置で動きを繰り返してパスを良いテンポで捌き、着実にボールを運んだことで相手選手を動かすことができ、それまでにはなかったスペースを生むことに成功していた。
しかし、フランス代表にそれができる選手はいなかった。
中盤のポール・ポグバとアドリアン・ラビオはボールを確実にキープしながら、割とゆったりとゲームを組み立てられる選手で、ライン間をかき乱すことはできない。キリアン・エムバペはやはりスペースがある方が持ち味を発揮しやすく、カリム・ベンゼマはまだ周囲と噛み合っていないと感じさせる場面が多々あった。そしてグリーズマンはシステム上、サイドにいることがほとんど。ハンガリー代表の“中央を動かす”という部分は、明らかに不足していた。
システムを4-2-3-1とした後は、トップ下にグリーズマンが置かれた。しかし、ポグバが下がったあとはとくに、後ろからテンポよく縦パスを放り込める存在がおらず、同選手は中央で数的優位な状況を生み出すには至らず。たまらずエムバペが空けた左サイドに流れることも多かった。つまり、瞬間的な4-4-2だ。
デシャン監督は途中にオリビエ・ジルーを投入したが、攻撃のリズムは変わらない。結局、フランス代表はハンガリー代表が形成する“ブロック外”でのプレーに集中してしまうことになった。これでは、ゴールをこじ開けることは難しかった。