【写真提供:JFA】
日本サッカー協会(JFA)は18日、東京五輪に向けたなでしこジャパン(サッカー日本女子代表)のメンバー18人とバックアップメンバー4人を発表した。
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今年に入って初招集を受けた経験の浅い選手が複数選出された一方、2011年の女子ワールドカップ優勝メンバーで長きにわたってなでしこジャパンを支えてきたDF鮫島彩が落選するなど驚きもあった。
なでしこジャパンを率いる高倉麻子監督は、発表当日の朝まで悩み抜いて18人のメンバーを選んだという。「予選リーグ3試合と決勝トーナメントに入ってからの(決勝までの)3試合を考えた時に、ポジション的な部分でのバランスがまず1つあります」と選考基準を明かした。
そして、チームを「ビル」に例えて、何が最後まで頭を悩ませたのかについても語っていた。
「ビルを建てるのと一緒で、例えば1つのピースを変えたら、他のバランス的にはちょっと変わってくるという図があるので、誰かと誰かを入れ替えれば済むという単純なことではなくて。もし発想を変えて1人を替えると、そこに伴って1人、2人が『果たしてこれでいいのだろうか?』という考えがどんどんでてきてしまう。そういったところでだいぶ考えを絞り出しました」
では、高倉監督はどんな「ビル」を理想にチーム作りや選手選考に臨んだのだろうか。記者からの「どんなビルを建てたかったのか?」と問われ、次のように答えた。
「シンプルにコンクリートでできたビルと思ったんですけれども、本当にビルに例えれば、やはりピカピカな素材ということではなく、素材に含まれるものが高貴なものであって欲しいと思います。見えないところでしっかりした素材でできていて、シンプルで美しいビルでありたいなと思いますし、いろいろな人がそのビルを見て、何か心を揺さぶられるような建物であれたらいいなと思います」
悩み抜いた末に、東京五輪金メダルのイメージを描けるバランスの整った、細部までこだわりを詰め込んだ欠陥のない「ビル」を建てることができたのだろうか。その答えは五輪本番で明らかになる。
なでしこジャパンは東京五輪の開会式に先立ち、7月21日にカナダ女子代表との初戦に挑む。
「五輪の先陣を切って戦うことを考えてもすごい重圧がくるんだろうと想像しながら、それでもやることはサッカーのゲームなので、その試合に全神経を集中し、今ある全てを注いで1試合を戦うことにとにかく集中して、全員で心を1つにして戦えればいいなと思います」
前回のリオデジャネイロ五輪は出場権獲得すら逃し、日本女子サッカー界の大きな停滞を招いた。今回の自国開催の五輪で、注目度も高く、結果が未来に大きな影響を及ぼすのも間違いない。だからこそ、なでしこジャパンが目標を前に倒壊してしまう“強度不足のビル”でないことを願いたい。
(取材・文:舩木渉)
【了】