ベルギー代表の強みと隙
デンマーク代表もタレントが揃う好チームで、ベルギー代表にとっては簡単な試合ではなかった。クリスティアン・エリクセンが初戦で倒れたことによる精神的なショックもあっただろう。しかし、エリクセンの容態の安定はデンマーク代表の不安を勇気に変えた。ピッチに立った16人の選手には、背番号10の魂が乗り移っていた。最後まで戦い抜いたデンマーク代表の気迫は素晴らしかった。
一方のベルギー代表は優勝に向けて役者が揃った。デ・ブライネだけではなく、アクセル・ヴィツェルもこの試合で復帰。1月にアキレス腱を断裂してリハビリを続けていたが、この試合で30分プレーすることができた。エデン・アザールはアシストをマーク。ベルギー代表で主将を務めるこの男は、後半から流れを変える役割でチームに貢献することになりそうだ。
ただ、不安もある。試合終了間際にボールを回していたところを奪われてピンチを招いた。ロシアワールドカップ・ラウンド16の日本代表戦ではその隙を突いたが、やられる側になっていた可能性もあった。優勝を狙うベルギー代表にとって、こういった細部の詰めが命取りになりそうだ。
(文:加藤健一)
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