2得点が生まれた背景
1点目のシーンで、ルカクにダイレクトでパスを出したのはデ・ブライネだった。ルカクが右に流れて深さを作り、生まれたライン間のスペースでデ・ブライネがパスを受ける。マンマークでは対応しにくい状況を作り出していた。
2点目は流れるようなパスワークだが、これはデンマーク代表の交代が関係している。61分にポウルセンを下げ、クリスティアン・ネルゴーアを入れて3-5-2に変更している。デンマーク代表は応急処置を施し、中盤を数的同数にしている。
しかし、この時間帯には既にデンマーク代表の足が止まりかけていた。ベルギー代表のDF3人がボールを回すのに対し、デンマーク代表のFWは2枚。右のトビー・アルデルワイレルドはボールを持ったときに前線を見る余裕があった。DFラインの背後に走りこんだルカクはパスを受けて相手のDF陣を引き連れてサイドでキープ。手薄になったゴール前はスライドが間に合わず、デ・ブライネがフリーでゴールを決めた。
デンマーク代表の交代によってベルギー代表は中盤の数的優位を消されたが、それによって生まれたDFラインの数的優位からチャンスを生み出した。精度の高いフィードが最終ラインから供給できるのも、このチームの強みである。勝利の立役者はデ・ブライネだが、他の選手のクオリティによってデ・ブライネが輝いたといってもいい。これは卵が先か鶏が先かの議論であって、見方の問題になる。
【次ページ】ベルギー代表の強みと隙