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EURO2020 3年前

フランス代表が示した「強固な基盤」。ドイツ代表を撃破、才能やクオリティ以上に必要なものとは?【ユーロ2020分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

クオリティや才能以上に必要なものとは?



 もちろん結果論になってしまうが、フランス代表からするとガンガンとサイドアタックを仕掛けられた方が厄介だったかもしれない。布陣を[3-5-2]から[4-3-3]に変更し、アンカーにトニ・クロース、インサイドにイルカイ・ギュンドアンとトーマス・ミュラー、トップはケヴィン・フォラントに変更、そして両ウイングにヴェルナーとサネを配置していれば、ギュンドアンとミュラーは2列目からでもフィニッシュに絡んできただろう。

 しかし、実際の試合ではレーブ監督が自ら袋小路に飛び込むような采配を振るってきたことで、“世界最強の守備的ユニット”は綻びを見せるどころか、試合終了の笛が鳴るまで安定。ヴェルナーにもサネにも仕事をさせなかった。試合を通してドイツ代表に10本のシュートを打たれはしたが、そのうち枠内シュートは1本に留めている。こうしてフランス代表は「効率的」な“ウノゼロ”で、ドイツ代表に勝ち切った。

 試合後、デシャン監督は「効率」を強調。さらにフランス代表を率いる指揮官は、次のようなコメントを残した。

「我々はクオリティや才能以上に、このコレクティブな強度を維持しなければならない。これが強固な基盤である」

 選手と監督としてワールドカップで優勝したことのある人間として、デシャン監督は、ビッグトーナメントを制するために必要な「強固な基盤」が何であるかを、「巨人同士の戦いだった」EUROの初戦で示したのかもしれない。

(文:本田千尋)

【了】

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