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オナイウ阿道、6分間でハットトリック。胸の内にたぎる野心と情熱「だからこそ、ここにいる」

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

オナイウ阿道
【写真:田中伸弥】


 日本代表は15日、カタールワールドカップ・アジア2次予選でキルギス代表に5-1の勝利を収めた。

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 FWオナイウ阿道がハットトリックの大爆発で日本を勝利に導いた。27分にPKで最初のゴールを挙げると、31分にはMF川辺駿のクロスを押し込んで2点目。そして33分にDF小川諒也のクロスに頭で合わせ、わずか6分間で3得点を奪って見せた。

「僕1人の力ではここまで来られていない。(所属している)チームのスタイルだったり、チームのサッカーがあって、この代表に僕は呼んでいただいている。マリノスのサッカーでそれ(自分の特徴)を出すことがゴールにつながるというのは、自分のなかでもしっかりとしたイメージができているので、それを今日の結果としてちゃんと残せたのはよかったと思います」

 試合を終えた後のオンライン取材に応じたオナイウは「個人としてゴールだったり、結果、数字という部分はある程度出せた」と、自らのパフォーマンスを振り返った。しかし、ハットトリックを誇るよりも反省の言葉を口にする回数の方が多かったのは印象的だった。

「結果という部分では、出せないより出せた方が絶対にいいし、それがゴールを取るに越したことはないと思うので、ある程度結果を残したと思いますけど、やっぱり他のところでもっと質を上げないと、相手のレベルがまた上がってきたところで自分が通用しなくなってしまうと思う。技術だったり、判断だったり、プレースピードだったりをレベルアップしていきたいなと思っています」

 序盤から積極的にシュートを打っていたオナイウだが、決定機を立て続けに外してしまっていた。1点を決めたことで波に乗ったとはいえ、8本ものシュートを打っての3点に本人は満足していない。

 だが、大きなインパクトを残したのは間違いない。もともとFW大迫勇也の負傷離脱にともない追加招集された立場。ところが日本代表デビューを果たすと、巧みなポストプレーやDFとの駆け引きでも存在感を発揮し、ハットトリックという結果も残して大きなアピールに成功したと言えよう。

 J1リーグ戦で日本人最多10得点を奪っているストライカーとして、期待された実力を発揮した。森保一監督もオナイウが横浜F・マリノスで成長を遂げ、コンスタントに結果を残していることを高く評価してチャンスを与えた。

 オナイウも日本代表合宿という千載一遇の機会で多くの学びを得たようだ。

「僕より若い選手もいますし、五輪世代も含めて、ここにいる選手たちのなかには、年齢に関係なく向上心があって、もっとうまくなりたいとか、コミュニケーション能力だったりとか、試合中の判断とか、ハーフタイムで修正するんじゃなくて前半のなかで(修正する)とか、そういうサッカーに対する熱というのは今までより高いものだと感じました。だからこそ、ここにみんないるんだなと感じたので、よりそれを自分も求めていって、チーム(マリノス)に帰ってそれを還元できればいいと思います」

 大迫の代役にとどまらず、ライバルとしてセンターFWのポジションを争っていけるであろうポテンシャルは示した。9月に始まるカタールワールドカップのアジア最終予選に向けて、今度は日本代表から持ち帰った刺激をさらなる進化のエネルギーに変えていく鍛錬の日々だ。

 オナイウのこれまでのキャリアは決して順風満帆ではなかった。2016年にはリオデジャネイロ五輪直前でメンバー入りを逃し、2017年に加入した浦和レッズで出番をつかめず。2018年と2019年はレノファ山口と大分トリニータに期限付き移籍した。

 だからこそ日本代表に選ばれて結果を出したことで浮かれることなく、足もとを見つめて一歩一歩着実に前進していくことの重要性も理解している。

「毎年レンタルでチームを出たり、いろいろな経験をしてきたからこそ、いろいろなものを得たと思いますし、それがなかったら、ここにいなかったかもしれない。いろいろな人との出会いとか、それで得た経験とか、選手としての幅とか、そういうものを含めて、僕1人で勝ちとったものではない。

みんなに、今日ここに呼んでいただいていることに感謝しながら、呼んでいただいた時にしっかり結果を残すことを常に意識しながらチーム(マリノス)でやることが一番だと思うし、それ(感謝の思い)をチームに還元することができたら、よりチームも良くなっていくと思う。ゴールを取れたとか、呼ばれたということで終わらないで、次のステップにどんどん進んでいけるようにしたいです」

 謙虚な姿勢を貫く25歳のストライカーが、今回の日本代表活動での経験を糧にどのような成長曲線を描いていくか楽しみだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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