アクシデントをカバーする苦肉の策
後半に入ると、左サイドからの攻撃の形も見えてきた。ペドリが前半より少し低い位置に下がってボールを触り、ジョルディ・アルバを高い位置に押し上げた。
しかし、左から攻撃を組み立てると、右サイドがうまくいかない。さらに、攻撃がワンパターンになってしまったことで、スウェーデン代表も比較的対応しやすかったのかもしれない。アタッキングサードの連係が精度を欠いたというより、バリエーションの少なさが問題だったようにも見える。
無得点に終わったもう1つの理由に、相手GKの活躍がある。背番号1を背負うロビン・オルセンは会心のパフォーマンスを見せた。データサイト『WhoScored』によると、この試合で5つのセーブをマークし、8.0という最高評価を与えられている。DFラインの集中力も90分途切れず、身体を張ってボールを跳ね返し続けた。
スペイン代表からしてみれば、ピッチ外のアクシデントが足かせになったことは間違いない。大会直前にセルヒオ・ブスケッツに新型コロナウイルスの陽性反応が認められ、チームは一時隔離状態となった。
大会前最後の実践となった8日のリトアニア代表戦は、U-21欧州選手権に出場していたU-21スペイン代表が代わりに出場している。集団感染は避けられたが、チームは予定されていたスケジュールをこなせなかった。
この日の先発メンバーは準備不足を埋め合わせるための苦肉の策だったのかもしれない。右サイドバックにはマルコス・ジョレンテで、右インサイドハーフにはコケ。左サイドバックはジョルディ・アルバで、左インサイドハーフはペドリ。それぞれアトレティコ・マドリードとバルセロナのセットを移植している。
センターバックのアイメリック・ラポルテは代表デビュー戦だったが、前方にマンチェスター・シティで同僚のロドリがいたことで最低限の呼吸を合わせることができたのかもしれない。ルイス・エンリケ監督の選んだ11人は応急処置のようなものだった。