若くして才能を披露して高く評価された選手が、そのままスター選手として活躍し続ける保証はない。怪我やプレッシャーに苦しみコンディションを落とす選手がいれば、ピッチ外での問題で活躍の場を失っていく選手も多い。今回は大きな期待を背負いながらも、大舞台から姿を消したアフリカ人選手を紹介する。
アフリカ年間最優秀若手選手にも輝いたFW
【写真:Getty Images】
FW:ドミニク・アディアー(ガーナ)
現所属クラブ:無所属
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2009年に行われたFIFA U-20ワールドカップの主役はドミニク・アディアーだった。ガーナ代表として同大会に挑んだFWは、8得点をマークし母国の優勝に貢献。個人としては得点王、そしてMVPを獲得していた。その活躍が認められ、2010年1月にはフレドリクスタからイタリアの名門ミランへの移籍を掴み取る。さらに同年3月にはアフリカ年間最優秀若手選手賞に輝くなど、キャリアのスタートはこれ以上ないほど順調だった。
しかし、ビッグクラブでの試練を乗り越えることはできなかった。ミラン加入から半年後にレッジーナへレンタルすると、さらにその半年後にはパルチザン・ベオグラードに貸し出されることに。そしてここでも不発に終わると、その後トルコ、ウクライナにそれぞれ期限付きで居場所を求めている。この時点で元U-20W杯MVPアディアーの輝きはほとんど失われていた。
2012年にアルセナル・キエフにフリー加入したことでミランからのレンタル地獄は終わったが、苦悩の日々は続く。2014年には一時無所属となり、翌2015年にはついにヨーロッパの地を離れ、タイへと向かうことになった。その後同国でのプレーを継続しており、チェンマイ・ユナイテッドに在籍していた昨年は2部リーグで戦った。そして今年1月、アディアーは再びフリーの身となっている。
ちなみに、2010年南アフリカワールドカップ準々決勝ウルグアイ代表戦、ルイス・スアレスの決定機阻止によるハンドを誘発したのはアディアーだった。その後アサモア・ギャンがPKを失敗し、結果としてガーナ代表は敗退へと追い込まれるのだが、もしスアレスのハンドがなくアディアーのヘディングシュートが決まっていたら、彼は再び国民のヒーローとなっていたはず。その後のキャリアも変わっていたかもしれない。
【了】