メダルへの重要なカギ
もう1つ、懸念材料があるとすれば、OA3人への依存度の高さではないか。
「OA3人が入ることによって試合が面白くなるし、大人のサッカーにもなる。よりレベルも上がる。融合というよりは、もう助っ人外人みたいな感じです」と久保も彼らへの絶大な信頼を口にしていた。しかし、あくまで五輪サッカーはU-24世代が中心だ。自分たちからアクションを起こし、チームを引っ張る自覚がなければ、仮に年長者たちに出場停止やケガなどが起きた場合、チームの一体感や統率力が低下することにもなりかねない。
5月31日にOAが初参加した練習時にも、吉田や遠藤航が当たり前のように先頭を走っていたが、本来であれば、これまでのキャプテン・中山らが率先して前に出ないといけない。「先輩についていけばいい」という感覚から若い世代が脱することができるかどうか。それもメダルへの重要なカギになりそうだ。
かつて2000年のシドニー五輪代表が8強入りし、その大半が2年後の2002年日韓ワールドカップの主力になったように、今回の東京五輪世代は1年半後のカタールワールドカップでチームを牽引する存在にならなければいけない。その高い意識を持つこと。それをこの世代のメンバーには強く求めたい。
(取材・文:元川悦子)
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