メダルを取れるかどうかを計る指標
この1点を境に相手の集中力が切れ始め、前半は遠藤航が豪快なミドルで追加点をゲット。3人を交代して戦った後半も途中出場の上田綺世、頭からいい動きを見せていた堂安が得点した。3点目は三笘と上田の大学時代からのホットラインが生きた形。4点目も後半から出た相馬勇紀が久保からのスルーパスの鋭く反応し、相手をかわして、ゴール前で待ち構えた堂安にラストパスを送るという崩しだった。
三笘と相馬という2列目左を争う2人がともに得点をお膳立てしたことは特筆すべき点。両サイドやウイングバックもこなせて、リスタートも蹴れる相馬の方が起用機会は多いかもしれないが、果たして森保・横内両指揮官はどのような判断を下すのか。そこがメンバー発表時の最大の注目点になりそうだ。
終わってみれば4-0、シュート数17対0という圧勝で、本番前の最終テストとしてはやや物足りない試合になった。6-0で圧勝した5日のU-24ガーナ代表戦も同様だが、本大会でメダルを取れるかどうかを計る指標としては不十分だと言わざるを得ない。
前述の通り、東京五輪が猛暑とコロナ禍のバブルという特別な環境下の大会で、1次リーグの対戦国である南アフリカ、メキシコ、フランスという相手が本来の実力通りの戦いを見せるか不透明な部分もある。強豪国の真の強度や技術、戦術眼を理解しているのはOA3人と欧州5大リーグで戦っている久保、堂安、冨安健洋くらい。遠藤航とのボランチコンビで異彩を放っている田中碧ですら、所属する川崎フロンターレで世界基準を体感する機会はほとんどない。そこは不安要素の1つと言っていい。
メンバー決定後の7月にはホンジュラス、スペインとのテストマッチが組まれているものの、本番前だけにガチンコ勝負に出てくる可能性は低い。国内組の多くが「未知なる領域」に挑むことになるのだ。