共通していた2得点の形
では最後に、なぜトルコ代表の守備をここまで崩すことができたのか。
トルコ代表は守備時、基本的に4-4-1-1でイタリア代表に対応。ただ、攻撃的SBスピナッツォーラの立ち位置によってはアンカーのオカイ・ヨクシュルを最終ラインに下げた5バックのような形になることもあった。
トルコ代表の守備は集中しており、前半はイタリア代表も得点を奪うことができなかった。しかし、ボールの即時奪回を徹底したロベルト・マンチーニ監督のチームに対し、ギネシュ監督のチームは守備の継続性を欠いてしまった。そこを、イタリア代表は見逃さなかったのである。
52分、カウンターに出ようとしたトルコ代表はこれが決まらず、中盤と最終ラインにギャップができたままの状態に。そこへバレッラがうまくポジショニングし、ロカテッリから鋭いパスが入る。バレッラは前を向くと、右側のベラルディにパスを捌いた。
ベラルディがボールを受けたのはペナルティーエリア内。対峙したウムト・メラズはPKの恐れがあるためそれほど強く来ず、レフティーは比較的楽な状態でクロスを上げた。ソユンクはバレッラにパスが出た時点で最終ラインを飛び出していたため、ゴール前で壁となれず。最後はデミラルのOGが引き起こされた。
そして2点目、トルコ代表は少し前掛かりになってまたも中盤と最終ラインが間延び。再びバレッラがそのエリアへ侵入し、ボールを持つ。そして今度もPA内のベラルディへパス。ボールを受けた背番号11はなんの問題もなくファーサイドにクロスを送り、スピナッツォーラがシュート→セカンドボールをインモービレが押し込むことになった。
中盤のフィルターが最後まで機能したイタリア代表と、ボールを持たれ続け中盤と最終ラインの距離感が途中より曖昧となってしまったトルコ代表。このわずかな差が、結果的に3-0というスコアを生むことになったと言ってもいいだろう。
(文:小澤祐作)
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