最終予選で軸に据えるボランチは誰だ?
こうした前提で今回出たボランチ陣3人を評価すると、橋本は強度やパワーという部分では欧州で通じる水準にあるものの、パス出しの正確さや繊細さという課題に直面した。守田も尻上がりに本来のプレーを取り戻したが、まだまだ世界トップ相手にイニシアティブを発揮するだけの余裕や冷静さがないという現実が見て取れた。
川辺には誰とでも合わせられる適応力や臨機応変さがある。攻守両面で気の利いた仕事ができることは分かったが、世界基準のスケール感とアグレッシブさという点では見劣りする印象だった。
彼らの誰を最終予選で軸に据えるのか…。そこは森保監督も思案のしどころだろう。遠藤航という絶対的中心は決まっているものの、コロナ禍の今、彼が必ずアジア予選に招集できるとも限らないし、ケガやコンディション不良もあり得る。そこで今回の前半のような戦いをしていたら、やはり苦戦は必至だ。そうならないように、今回ピッチに立った3人にはそれぞれ自分自身を客観視して、レベルアップに勤しむことが肝要である。
東京五輪後には田中碧や板倉滉も加わってくるだろうし、柴崎岳や山口蛍らのワールドカップ経験者の復権も考えられる。選手たちはセルビア戦を糧にして、力強く先に進まなければならない。
「セルビア戦は課題が出た方がいい」と森保監督も試合前に話していたが、その通りになった。貴重なテストマッチをムダにしてほしくない。
(取材・文:元川悦子)
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