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鎌田大地「納得いかない」。長友佑都「失点しないことが大事」。日本代表、セルビア戦で食い違う「前半」への見解

text by 編集部 photo by Getty Images

鎌田大地
【写真:Getty Images】



 日本代表は11日、キリンチャレンジカップ2021でセルビア代表と対戦し1-0の勝利を収めた。

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 ボール支配率で上回りながら、相手の5バック気味の守備ブロックを崩しきれず、シュート2本に終わった前半に対する見解が選手によって微妙に異なっていた。

 トップ下で先発出場した鎌田大地は「今日の前半は全然納得のいくゲームではなかった」と悔やむ。

「前半からもっとしっかりプレーしようとするべきだったと思うし、後半はうまく修正できたと思いますけど、やっぱりこのセルビアくらい、悪くはない、いいチームだと思いますけど、やっぱり世界のトップと比べると、もっと普通にできないとダメだと思うし、今日の前半は全然納得のいくゲームではなかった。ああいう少しレベルの上がった相手に対して、もっと勇敢に前にボールをつけたり、ボールを運んだり(する必要があった)」

「自分たちが前からいいプレスをかけて、そこから取った瞬間にボールを前につけないと。前に(パスを)つけるだけでビッグチャンスにできたシーンがあったので、ああいうところでホッと落ち着いちゃうとスピーディーな攻撃ができなくなるので、まだまだそういうのはチームとして向上していかないとダメで、もっとチームとして要求していく必要があるのかなと思います」

 一方、長友佑都は煮え切らない展開でも大きく崩れなかったことが重要だったと語った。もっと前に出るべきだったと主張する鎌田とは、試合に対してやや違った見方をしている。

「特に前半は堅い試合になる。ワールドカップでもそうだし、(ワールドカップのアジア)最終予選でも、相手がガチガチに守ってきて、前半はこういう試合にやりやすい。で、うまくいかない時は、まずは失点しないことが大事なので」

 そのうえで「今日も、まず前半はうまくいかなくてもいいから、失点をしないこと。まずはみんなで守っていこうという話をしました。後半は相手も足が止まってくるし、スペースが出てくるから、どんどんチャンスが作れる。うまくいかなくてもネガティブにならずにやっていこうという話をしましたね」と、長友は明かす。

 日本代表は後半開始から2人の選手を交代させた。そして48分にセットプレーから伊東純也が先制点を挙げて一気に流れをつかみ、前半よりも主導権を握る時間を長くしながら完封勝利を収めた。

 鎌田は後半に「選手の意識が変わったと思う」と語る。

「ディフェンスラインからボランチにうまく(パスを)つけるとか、ボランチが前を向いてボールをさばいた。そこが前半とはみんなの意識が変わったところかなと。でも、やっぱりセットプレーで点が取れて、(64分に認められなかった)2点目はオフサイドか分からなかったですけど、(カウンターでの)ああいう崩しは素晴らしかったと思う。前半ああいうゲーム展開だと後半は(相手の)体力が保たないと思ったので、もっと前半からよくするべきだったと思います」

 長友はミスが多くありながら無失点に抑えた前半に一定の納得感を持っている。「ディフェンスラインを含めて中盤の選手ももちろん、前目の選手も(ボールを)取られた後の切り替えだったり、失った後の相手のカウンターを止めるところだったり、そういう判断が非常によかったかなと思います。なので、相手にほとんどチャンスを作らせずに、相手の攻撃もさせなかったということです」とリスク管理の出来にも手応えを感じているようだった。

 一方の鎌田は「みんなが少しリスクを避けすぎて、後ろとか横にパスしすぎた」「プレーする勇気が少し足りなかった」と、リスクを恐れない姿勢が足りなかったことを指摘する。

 彼らに前線とディフェンスラインということで立場の違いはあるが、試合に対する認識は若干異なっていると言っていいだろう。この感覚のギャップを15日のキルギス戦までに埋めていくことが必要かもしれない。

「現代フットボールはああやって前からいいプレスをして、できるだけ時間をかけずにゴールを取るというのが主流のチームが多くて、自分たちもあれだけ前からいいプレスをかけて、いい奪い方をして攻撃にいきたいというので、前から守備をしている。あれで前から行ってボールを取ってから落ち着いてしまうと、何のためにプレスに行っているかわからない。

 ヨーロッパのサッカーではインターセプトの瞬間から意識していて、『チームとしてこうする』というのを常にミーティングだったりで選手に伝えて、意識させて、ファーストボールが1トップにいい形で入れば、一気に2列目の選手が前向きに進める。今の日本代表もああやって前から守備をしようと狙っているので、ミーティングでもそういう話はしているし、そこはまだまだ向上できると思います」(鎌田)

 前と後ろで意識の方向が分かれてしまったら、チーム全体に大きなひび割れができてしまうことにもつながりかねない。試合運びにおける意思統一は、拮抗した展開で勝利したからこそ見えてくる課題だ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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