「言い訳にできない」。90分で見せた改善と収穫
こうした中、前半終了間際の40分に一瞬のスキを突いて南野が追加点を奪い、チームに安堵感と余裕をもたらしたのは特筆すべき点。
「僕自身はクロスでニアに飛び込むとか、こぼれ球とか、そういうのに鼻が効く。あの時もニアが空いていると感じたので、亨梧のクロスが反応して一瞬のスキを突けたのはよかった」と本人も語っている。そういった違いを作れる人間が複数いなければ、最終予選を勝ち抜き、カタールワールドカップで躍進するのは難しい。ただ、南野個人に関して言えば、鎌田や大迫ら常連メンバー組んでいない中、その可能性を示したことは大きい。特に右サイドの山根・古橋と45分間で1つの形に持っていったことは収穫と見ていいだろう。
前半45分間で何とか苦境を抜け出した日本代表は後半に入って橋本、川辺が加点。坂元達裕がAマッチデビューを飾り、古橋が左右のサイドに最前線と複数ポジションでプレー。谷口彰悟もU-24日本代表との兄弟対決に続いてボランチでトライするなど、時間の経過とともにポジティブな要素が増えていった。
「(時間がなくても)集まる以上はしっかり合わせていくのが日本代表。それは言い訳にはできない。最初はうまくいかなくても試合の90分間を通してどんどんよくなっていることは試合でも感じていた」と昌子も1試合で何とか戦えるチームにすることを考え、必死に声を出し続けたという。
こうした努力のかいあって、改善が見られたのは事実。そこは前向きに捉えていい。橋本が強度の高い守備で攻撃の芽を摘むボール奪取を繰り返し、古橋が結果を出し、川辺も持ち味の決定力でアピールした。新戦力が多少なりともインパクトを残したことも、今後につながりそうだ。
【次ページ】強度や精度はまだまだ足りない