インテル(2009/10シーズン)
2009/10チャンピオンズリーグ決勝 バイエルン・ミュンヘン戦スターティングメンバー
インテル
2009/10シーズン成績
・セリエA:優勝
・コッパ・イタリア:優勝
・チャンピオンズリーグ:優勝
・スーペル・コッパ:準優勝
監督:ジョゼ・モウリーニョ
スタイル:カウンター
2009/10チャンピオンズリーグ決勝 バイエルン・ミュンヘン戦スターティングメンバー
GK:ジュリオ・セーザル
DF:マイコン、ワルテル・サムエル、ルシオ、クリスティアン・キヴ
MF:エステバン・カンビアッソ、ハビエル・サネッティ、ウェズレイ・スナイデル
FW:サミュエル・エトー、ディエゴ・ミリート、ゴラン・パンデフ
インテルの歴史を振り返る中で、2009/10シーズンの話題が出てこないことはないだろう。ジョゼ・モウリーニョ監督に率いられた青黒軍団は同シーズン、イタリア史上初の3冠を達成。まさに当時の最強クラブだった。
この時、インテルの自慢は守備にあった。ルシオとワルテル・サムエルの南米センターバックコンビはスペシャルな守備スキルで相手FWを封殺し、右サイドバックのマイコンが攻撃参加に出れば左サイドのクリスティアン・キヴやハビエル・サネッティが巧みにバランスを取る。そして、中盤底ではサネッティやエステバン・カンビアッソが攻守に安定感をもたらしていた。
そして、チャンスはカウンターからうかがった。
中堅や下位クラブのカウンターはボールを奪って縦に蹴り込み、前の選手を走らせるという形が多いが、インテルのそれはより繊細。基本的にウェズレイ・スナイデル、サミュエル・エトー、ゴラン・パンデフ、ディエゴ・ミリートの4人でカウンターを仕掛けるが、彼らは技術力、コンビネーションともに抜群で、スピーディーな展開の中でも正確にパスを繋ぎ着実にゴールへ迫っていく。ただ単に速いわけではない、というのが最大の魅力であり、他クラブにとっての大きな脅威だった。
そして何よりも凄かったのは、ピッチ上の全員が献身的な守備を行ったこと。ウイングのパンデフやエトーでさえまるでSBのようにディフェンスをし、トップ下スナイデルもブロックを築く一員として奮闘した。バイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、まさにこの守備意識の高さで勝利をもぎ取っている。チーム全体に高いレベルでそれを植え付けたモウリーニョの手腕は、賞賛に値するものだったと言えるだろう。
最終ラインの選手はもちろんのこと、WG、そしてセンターフォワードにも守備面での献身性が求められる。今でこそベースとなっているが、当時これをできるチームが、とくに強豪において多かったかというと、決してそうではない。「守備的すぎる」と批判されることもあったが、あくまで「勝利」の二文字にこだわり続けた、モウリーニョらしい見事なスタイルだったと言える。