サッカーの長い歴史の中で、後世に語り継ぐべきチームがある。その後の戦術に大きな影響を与えたチームや、金字塔とも呼べる成績を収めたチーム…。今回は2000年代を彩ったイタリアの5チームを紹介する。
ユベントス(2011/12シーズン)
2011/12セリエA第34節ローマ戦スターティングメンバー
ユベントス
2011/12シーズン成績
・セリエA:1位(勝ち点84/23勝15分0敗)
・コッパ・イタリア:準優勝
監督:アントニオ・コンテ
スタイル:ポゼッション
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2011/12セリエA第34節ローマ戦スターティングメンバー
GK:ジャンルイジ・ブッフォン
DF:アンドレア・バルザーリ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニ
MF:ステファン・リヒトシュタイナー、アンドレア・ピルロ、パオロ・デ・チェリエ、アルトゥール・ビダル、クラウディオ・マルキージオ
FW:ミルコ・ヴチニッチ、ファビオ・クアリャレッラ
2006年、ユベントスはカルチョ・スキャンダルにより、クラブ史上初のセリエB降格を喫した。その後1年でセリエAに復帰するも、2009/10シーズンと2010/11シーズンはともにリーグ7位フィニッシュと低迷。イタリアの名門としての輝きは、虚しくも失われていた。
そんな暗いトンネルの中にいたユベントスに光を照らしたのは、クラブOBでもあるアントニオ・コンテだった。2011/12シーズンに古巣へ戻ってきた同監督は、これがいわゆるビッグクラブでの初指導となったのだが、ビアンコネロにかつての輝き…いや、それ以上のものをもたらすことになる。
コンテは自身の代名詞でもある4-2-4をユベントスでも採用した。しかし、それに固執するわけではなく、うまくいっていないと見ると4-3-3や3-5-2に変更。柔軟にチームのレベルを上げていた。
基本的にコンテはポゼッションを重視していた。その中でキーとなったのが、このシーズンにフリーでやって来たアンドレア・ピルロ。チームとして高い位置から相手にプレッシャーを与え、良い場所でボールを奪えばそのままショートカウンターを仕掛けることもあったが、そうでない場合はまず中盤底ピルロにボールを預ける。そこからパスを展開し、中盤を支配しながら相手を押し込んだ。ピルロは加入当初、「終わった選手」とも言われていたが、そんなことは一切なかった。
運動量豊富で泥臭いプレーを厭わないアルトゥーロ・ビダルやクラウディオ・マルキージオ、ステファン・リヒトシュタイナーといった選手も、支配率アップのためのボール即時奪回を求めるコンテ監督の下で不可欠な存在に。そして後ろではレオナルド・ボヌッチ、アンドレア・バルザーリ、ジョルジョ・キエッリーニの3バックが強固な防波堤を築く。彼らのピカイチな守備力がなければ、コンテのサッカーは成り立たなかった。
勝ち切れない試合が多かったのも事実だが、ピルロ中心に自分たちがボールポゼッションを意識したことで、相手に攻められる時間が必然的に減り、このシーズンのリーグ戦失点数はわずか「20」だった。当然、失点を抑えることができれば、負ける確率はグッと下がる。ユベントスはこのシーズン、無敗のままセリエAを制すことになった。
この無敗優勝で完全に勢いに乗ったユベントスはその後、セリエA9連覇を果たすことに。2011/12シーズンはアレッサンドロ・デル・ピエロが退団したことで一つの伝説が終わりを迎えたが、同時に新たな伝説が幕を開けた瞬間でもあった。