大迫勇也とも共通する存在価値とは?
悔恨の念を抱いた若きFWは今回の黒星を先につなげるしかない。幸いにして直後にはU-24日本代表の活動が待っている。3月のU-24アルゼンチン代表との2連戦をケガで棒に振った彼にとって、今回のU-24ガーナ代表、ジャマイカ代表との2戦は東京五輪本大会メンバー滑り込みのラストアピールの場だ。
森保一監督から2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)などハイレベルの舞台に何度か呼ばれている上田は東京五輪のエース候補に他ならない。しかし、今季のJリーグでは前田大然や林大地、田川亨介らも猛烈アピールを見せていて、安穏とはしていられないのだ。
「いろんな選手とプレーすることによって、いろんな引き出しを加えたいし、またいい部分を盗んだり、新たな動き出しにトライしたりしたい」と本人も強い意欲を見せたが、まずは「上田綺世ここにあり」をしっかりと示すことが肝要ではないだろうか。
川崎戦でも3~4人のDFに囲まれながらしっかりと体を張ってファウルを取るプレーを披露するなど、彼の存在価値は単にゴールだけではない。前線でボールを収め、攻撃の起点になる能力は他のライバルよりもはるかに高い。そこはA代表の大迫勇也とも共通する部分。前々から「大迫後継者候補一番手」と評されている上田には、その領域に上り詰めてもらう必要がある。その布石をここから2週間の東京五輪代表活動で打ってほしいものだ。
(取材・文:元川悦子)