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Jリーグ 4年前

鹿島アントラーズ、上田綺世が見せた「新しい引き出しのゴール」。東京五輪エース候補の存在価値とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「新しい引き出しのゴールを取れた」



 悔しさ募る男がついに結果を出したのは、この2分後。荒木のスルーパスに鋭く反応する。ジェジエウの背後を抜け出し、今度はチョン・ソンリョンの動きをしっかりと見ながら右足でボールを浮かせてゴールネットを揺らした。いったんオフサイドと判定されながら、VARチェックによってゴールと認定。鹿島は1-1の同点に追いついた。

「継続して動き続けたから取れたゴールだと思います。僕自身も正直、若干オフサイドかなと思いましたけど、つねに準備していたところが得点につながったんじゃないかな。普段の僕にはないアイディアが生かせたし、新しい引き出しのゴールを取れたかな」と上田自身も手ごたえを口にした。この一撃がチームに大きな勇気を与えたのは間違いない。

 勢いに乗って逆転弾も奪えば理想的な展開だった。実際、チャンスはあった。それは後半25分。田中碧のバックパスがミスになったのを見逃さず、背番号18はまたも反応。ゴール前に飛び出してシュートを放ったが、飛び出してきた守護神に触られてしまった。

 結局、チョン・ソンリョンとの勝負は1勝2敗。止められた2本のうち1本だけでも決めていたら、最後の小林悠の決勝弾もなかったかもしれない。川崎のJ1新記録と鬼木監督の100勝達成をベンチで見守ることになった上田は「FWはチームを勝たせるのが仕事」という鉄則を改めて脳裏に焼き付けたようだ。

「1-2で負けているのは僕の責任。やっぱり今日の(外した)2つは決め切らなきゃいけなかった。スタメンで出るっていうのはそういうことかなと思います」

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