【写真:Getty Images】
現地29日にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝が行われ、マンチェスター・シティを0-1で下したチェルシーが9シーズンぶりの欧州制覇を成し遂げた。
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チェルシーのゴールマウスを守ってシティを完封したGKエドゥアール・メンディは、昨季までフランスリーグのスタッド・レンヌに所属していた選手。同じフランスでプレーする日本代表GK川島永嗣は、30日に行われたオンライン取材でメンディーを「いい成功例」と称えた。
「面識はないですけど、すごくいい成功例として見ていたところがあるので、ああいう形でCLで優勝することができて、同じGKとしてすごくうれしく思います」
なぜ「成功例」なのか。それはメンディーが7年前に「無職」の期間を経験したところから這い上がって、大きく飛躍した選手だからだ。現在29歳のセネガル代表GKは、2011年に当時3部リーグのシェルブールでプロデビューするも、2014年夏から1年間は無所属に。その後、マルセイユのBチームに加入し、2016年夏に移籍したスタッド・ランスで才能を開花させた。
マルセイユ時代にメンディーを指導していたステファン・カザールは、今季からストラスブールのGKコーチに就任して川島とともに仕事をしている。いわば2人は同門の教え子であり「GKコーチともいろいろ話をして(メンディーのことを)聞いたりもしていたので、そういう意味でも、今回の(CL)優勝をうれしく感じる部分があります」と、川島はメンディーを祝福した。
チェルシーだけでなく、シティでもGKエデルソンが戦術上のキーマンとなっている。昨季のCLではバイエルン・ミュンヘンのGKマヌエル・ノイアーが大活躍で優勝に貢献するなど、近年はGKが重要な試合で攻守にわたって決定的であるかどうかがタイトルの行方を左右することが多い。
欧州での豊富な経験を持つ川島は、「GKというのは素晴らしいプレーとミスが紙一重な部分はあります。もちろんノイアーでもミスをするシーンはたくさんあるし、他の高いレベルのGKもミスから失点することがシーズンを通して数回はあると思う」と述べた上で、GKというポジションの重要性について持論を展開した。
「CLでもワールドカップでも、高いレベルの中では試合の重要な場面でGKがどれだけ効果的なプレーができるかは、非常にゲームを左右することになってくると思います。その確率というか、どれだけ効果的でいられるかを、大きい枠で見たり、長い目で見たりし続けられるのかは、大切な部分なのかなと思っています」
かつてのメンディーのような若くて才能あるGKを、誰にでもあるミスによって切り捨てるのではなく、ポテンシャルを信じて育成し続けていくこと。そして、試合の勝敗を左右する極めて貴重かつ魅力のあるGKの重要性を啓蒙していくこと。未来の日本代表に「試合の重要な場面で効果的な」ワールドクラスのGKを送り出すための大事な視点を、川島が改めて提供してくれた。
(取材・文:舩木渉)
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