今や世界最強。カンテがいる限り強い
そしてもう一人、触れないわけにはいかない人物がいる。エンゴロ・カンテだ。
直近のリーグ戦で負傷し状態が心配された背番号7だが、シティ戦に無事間に合うことができた。トゥヘル監督はもちろん、何よりも安心したのはサポーターだろう。今季これまでにカンテが披露してきたパフォーマンスは、チェルシーにとって大きな強みとなっていたからだ。
そのカンテはシティ戦でも「通常運転」をした。とにかくボールホルダーに対するアプローチが早く、クリーンかつ鋭いタックルで攻撃の芽を摘む。カバー範囲もとてつもなく広く、ケビン・デ・ブルイネやフォーデン、B・シウバなどに大きな仕事を与えることがなかった。カンテが中盤の守備強度を高めることで、より最終ラインの選手が準備しやすくなっていたのは明らかだった。
そして攻撃面ではさすがの推進力も発揮。前半には凄まじいスプリントからクロスを呼び込み、小柄な体格ながら強さを活かしてヘディングシュートも放っている。このシーンも一つの例だが、攻守において居てほしいところにいつの間にか居るというのがカンテの恐ろしさ、ということを再認識した。
カンテはこの試合のMOMに選出されているが、妥当な結果だろう。タックル成功数3回、インターセプト数2回、空中戦勝利数4回、キーパス1本と攻守において結果を残しており、デュエル勝利数は8回中7回というデータも出ている。シティの悩みの種は、カンテにあったと言っても過言ではない。最強だった。
フランスの小さな巨人はこれでワールドカップ、プレミアリーグ、ヨーロッパリーグ(EL)、そしてCLと主要タイトルを総なめとすることに。カンテがいるチームは、必然的に強くなるのかもしれない。
(文:小澤祐作)
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