【写真:舩木渉】
ミャンマー代表は28日に2022年カタールワールドカップのアジア2次予選で日本代表と対戦する。27日には試合会場となるフクダ電子アリーナで前日の公式練習を行なった。
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報道陣に公開された練習の冒頭15分間で目にした光景は、あまり見慣れないものだった。
ピッチ中央に集合した選手たちは監督やスタッフ陣の前に整列し、直立不動で話を聞く。その後、選手たちは2人ずつ等間隔に並ぶ隊列を作り、一糸乱れぬ動きでランニングに移った。
その様子はまるで軍隊を見ているようだった。ミャンマーは国内情勢が不安定で、今年2月にクーデターを起こした国軍が政権を掌握している。軍事政権下ゆえに“軍隊式”のトレーニングになっているかは不明だが、異様な緊張感が漂っていた。
例えば日本代表などは練習開始時に集合すると、監督を中心に円陣を作るのが一般的。ウォーミングアップのためのランニングも隊列は組まず、選手たちも時折笑顔を見せながらチームメイトと会話しながら走るものだ。
ミャンマー代表は4月下旬から国内で極秘合宿を敢行し、今月22日に来日した。ただ、最後の国際Aマッチは2019年11月で、昨年10月に終了した国内リーグも今年はまだ開幕前。「個人的な理由」で代表招集を辞退した選手も一定数おり、長くトレーニングから遠ざかっていた選手も多いという。
コンディション面なども含め、決して不安がないわけではないだろうが、ミャンマー代表を率いるアントワーヌ・ヘイ監督は27日の公式会見で「故障者もなく、非常に厳しいスケジュールでやってきたので準備万端。選手たちは非常に集中しており、変な緊張感もなく、明日はきっといい試合ができると楽観的に見ている」と自信をのぞかせた。
なかなか選手などに関する情報がないため日本の報道陣から「キープレーヤーは?」と問われると、「そこがまさにミャンマー代表が有利な点だと思う。ミャンマーの選手はあまり知られていない。それは日本のテクニカルチームにも知られていないということ。ここで選手の名前をあえて挙げて、どんなカードがあるかを暴露するのは賢明ではない」と不敵な笑みを浮かべた。
そのうえでヘイ監督は「明日、日本を苦しめるであろう選手は何人かいる。そこをJFAの技術スタッフや監督への宿題とさせていただき、あとは明日お披露目ということになるだろう。大変優秀な選手もいるので、(日本が)苦戦を強いられる場面もあるはずだ」と豪語した。
日本代表は2019年9月にアウェイでミャンマー代表と対戦し2-0で勝利を収めている。とはいえ当時から監督も代わり、軍隊的な規律を身につけたチームは決して侮れない。28日の一戦は勝てばアジア最終予選進出を決められるサムライブルーにとって重要な関門だ。
(取材・文:舩木渉)
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