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マンUが“絶対”に獲得すべき男とは? フラム戦で再確認した、より高みを目指すための必須補強ポイント【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

サポーターに歓喜を届けられず

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【写真:Getty Images】

「勝ちたかったんだ。先週、あまりにも多くのポイントを失ったから、勢いをつけて自信もつけたかった。願わくば、これで自信を失わないでほしい。むしろ目覚めてもらいたい。判断が悪かった」

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 プレミアリーグ第37節のフラム戦後、マンチェスター・ユナイテッドを率いるオーレ・グンナー・スールシャール監督はこう試合を振り返った。この日は本拠オールド・トラフォードにサポーターが戻ってきた特別な日であったが、チームはそんな彼らに歓喜を届けることができなかった。

 フラム戦の入りが悪かったわけではない。15分にはGKダビド・デ・ヘアからブルーノ・フェルナンデス→エディンソン・カバーニとボールが繋がり、最後は背番号7がスーパーなロングシュートを沈めて先制点を奪っている。サポーターも大歓声で新エースのゴールを讃えていた。

 ただ、すでにマンチェスター・シティに優勝を決められており、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権も手に入れていたユナイテッドは、勝てば2位フィニッシュを決められるという条件こそあったものの、全体的にテンションが高くなく、過密日程の影響などもあって先制後はギアが上がらなかった。

 一方で来季のチャンピオンシップ(2部)降格が決まっているフラムは、失うものがないのでどんどん前に出てくる。そのためスコアこそユナイテッドが1-0とリードしていたが、試合内容にそこまで大きな差はなかった印象だった。

「何度もチャンスがあったのは事実。それがポイントだった」とB・フェルナンデスが振り返った通り、ユナイテッドは後半に入り、いくつかの決定機を作り出している。しかし、いずれもフランス代表守護神アルフォンス・アレオラの好セーブに阻まれ、スコア的に余裕をもつことができなかった。

 サッカーとは恐ろしいもので、仕留め切れない時間が長く続くほど、一瞬でやられてしまう。76分、ユナイテッドは左サイドを崩され、最後はジョー・ブライアンにヘディングシュートを押し込まれている。

ユナイテッドが来季優勝を目指すためには

 この失点シーンに、改めて来季ユナイテッドの補強ポイントを見た気がする。

 失点する10分前、ユナイテッドはスコット・マクトミネイが負傷しマーカス・ラッシュフォードとの交代を余儀なくされていた。背番号10は左サイドに入り、それまで同ポジションを務めていたポール・ポグバがフレッジとのダブルボランチを形成することになった。

 そして迎えた76分、フラム側が自陣でボールを持っていたところをフレッジが飛び出してプレッシャーを与える。しかしそれによりポグバの脇が空いてしまい、そこにパスを通される。そして今度はルーク・ショーがボールホルダーに寄せるのだが奪いきれず、タッチライン際へ展開。最後はショーがいないため完全フリーとなったボールホルダーにピンポイントクロスを上げられ、ゴールネットを揺らされる結末を迎えてしまった。

 失点の原因を一つに絞ることはできないが、始まりはフレッジが飛び出たところで空いたポグバの脇のスペースを使われたことである。フレッジの前に出る判断も微妙だったが、周りもまったく連動できていなかった。

 フレッジの特長は運動量豊富で機動力があることだが、守備にそれほど強く意識を置いていないポグバと中盤コンビを形成すると、フレッジが動くことで不用意に空間を作ってしまうことがある。今回の失点シーンがまさにそれだ。

 そのためユナイテッドの中盤底はフレッジとマクトミネイが基本となっている。彼らはともに運動量がありハードに働けるので、上位相手などには守備面で抜群の効果を示す。一方でゲームの組み立てという部分でやや質が落ち、とくに力の劣る相手に対し攻撃面で存在感を失うことが珍しくない。ユナイテッドがより高みを目指すならば、この二人では少々物足りないか。

 配給力のある中盤の選手と言えばネマニャ・マティッチだが、今年で33歳となる同選手は近年、運動量の低下が指摘されている。シーズンフル稼働を期待できる存在ではなく、来季はローマへの移籍も囁かれている。また、ポグバも配給力という意味ではピカイチで、組み合わせ次第では中盤底に置いても良い選手なのだが、スールシャール監督の左サイドハーフ起用も悪くない。来季もこれを継続する可能性は決して低くはないだろう。

理想の守備的MFは?

 もしマティッチが報道通りローマに移籍するとなると、中盤底で数えられる戦力は実質フレッジ、マクトミネイ、ポグバとなる。先述したことを考えても、ボランチの補強は第一優先に進めるべきだろう。

 理想はウェストハム所属のイングランド代表MFデクラン・ライスだ。スピード不足が玉に瑕だが、長身で足元のテクニックと配給力があり、ディフェンスの貢献度も非常に高い。現在22歳と、年齢的にも申し分ない人材だ。もちろん将来性もあるライスを狙うクラブは少なくないはずで、それなりの移籍金が必要になることは確かだが、獲れるならば全力で獲りに行くべきだ。

 さて、フラム戦で改めて来季の補強ポイントを覗かせたユナイテッドは、同日に試合を行ったレスターがチェルシーに敗れたため、今季の2位フィニッシュが決まった。そのため今週末行われる最終節ウォルバーハンプトン戦は消化試合となる。ヨーロッパリーグ(EL)決勝を見据え、大胆なローテーションを採用してもいいはずだ。

 と、EL決勝に向け少し余裕があるように思えるユナイテッドだが、ハリー・マグワイアに続き、マクトミネイ、そしてフレッジも起用できるか微妙な状態となってしまったようだ。もしこのまま彼らが起用できなかった場合、EL達人ウナイ・エメリ監督率いるビジャレアルとの一戦でスールシャール監督がどのような手を打つのか注目したい。

(文:小澤祐作)

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参照元:DAZN

【了】

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