ラ・リーガ第36節、グラナダ対レアル・マドリードが現地時間13日に行われ、1-4でレアルが勝利した。レアルはDFラインのレギュラーが全滅という危機的な状況で、カスティージャ(リザーブチーム)所属の2人をサイドバックに起用。19歳のミゲル・グティエレスと20歳のマルビンは輝きを放っていた。(文:加藤健一)
追い詰められたレアル・マドリードの意地
4試合を残して、ラ・リーガは上位3チームが勝ち点差2ポイントの中にひしめいていた。第35節は上位4チームによる直接対決となったが、2試合はともにドロー。第36節は火曜日にバルセロナが勝利を逃し、水曜日にはアトレティコ・マドリードはレアル・ソシエダを下した。3チームの中で最も状況が苦しかったバルセロナが先に自ら脱落し、首位のアトレティコが先に1歩前に出た。
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グラナダ対レアルは第36節の一番後ろに組まれた試合だった。レアルは17分に先制し、前半終了間際に追加点を奪って前半を終えた。71分に失点して1点差に詰め寄られるが、その直後に2得点。最後はペースダウンさせて試合を閉じた。今季のUEFAヨーロッパリーグでベスト8に入ったグラナダは決して油断できない相手だったが、最後は余裕をもって勝利を見届けられる展開となった。追い詰められたレアルは意地を見せている。
レアルの最終ラインにレギュラーだった選手は1人もいない。セルヒオ・ラモスもラファエル・ヴァランもダニ・カルバハルもいない。カルバハルの控えとして味を出していたルーカス・バスケスも負傷。さらに、フェルラン・メンディも怪我をして今季中の復帰が絶望的となった。
センターバックのナチョ・フェルナンデスとミリトンはもはやお馴染みとなった。そして、この試合では両サイドバックにカスティージャの選手たちを起用。右にはマルビン、左にはミゲル・グティエレスが起用された。
WGが本職のミゲルのSB起用が的中
この2人が勝利に大きく貢献したのは間違いない。まずはマルビン。ラウール・ゴンザレス監督が指揮を執るレアル・マドリード・カスティージャでは、ウイングなどの攻撃的なポジションでプレーするアタッカーである。この試合では右サイドバックを務めたが、攻撃時の役割はFWだった。
後ろから脚を踏まれて痛めたシーンの直後、お返しと言わんばかりに攻撃面で異彩を放った。27分、フェデリコ・バルベルデから縦パスを受けると、そのまま前を向き右足を振り抜く。シュートは惜しくも外れたが、相手を脅威にさらしたシーンだった。
前半終了間際の2点目は2人の関係性から生まれた。ロドリゴが開き、マルビンが内側を上がる。ミリトンは相手2人を引き付けながらパスを出すと、これが相手に当たってマルビンの下へ。マルビンの落としをロドリゴが拾い、ドリブルで突破。右足のシュートはファーサイドギリギリに収まった。
右ウイングのロドリゴはタッチライン際まで開いて幅を作っていた。ここにはルカ・モドリッチから何度かロングパスが通る。ロドリゴが開いたことによって空いたハーフスペースを、マルビンは駆け上がって有効活用していた。2つのシーンはともに似た状況から生まれたものだった。
マジョルカ島で生まれ育った20歳のマルビンは、恵まれたスピードとテクニックを持つ。この日の右サイドではロドリゴとキャラクターが重なることも懸念していたが、スペースを見つける力とそこに飛び込む能力が目立っていた。前半で交代となったのは、ハムストリングの負傷だったためとジネディーヌ・ジダン監督は試合後に明かしている。
ダビド・アラバのような万能性
マルセロはこの試合の遠征メンバーから外れている。ジダン監督は「怪我が理由で、リスクを取りたくなかった」という方便で真相を煙に巻いたが、どうやらジダン監督が口論となったからのようだ。
左サイドバックとして白羽の矢が立てられたミゲルも、マルビン同様にアシストを記録した。左サイドはカゼミーロかモドリッチがビルドアップに参加し、ミゲルを高い位置に押し上げる場面が多かった。先制点のシーンではドリブルで持ち運んできたナチョからミゲルがパスを受け、中央に運びながら浮き球のパスを送る。センターバックの背後を取ったモドリッチにパスが通り、左足のシュートはGKの股を抜けてゴールネットを揺らした。
10歳から下部組織でプレーするミゲルは、センターバックでもサイドバックでもプレーできるユーティリティーな選手。180cmの体躯はアスレティック能力に秀でており、アシストを記録したパスを見てわかるように、左足から供給されるキックの精度も高い。加入が間近とされるダビド・アラバのような万能性を秘めている19歳だ。
アトレティコとの勝ち点差は2ポイント。レアルは残り2試合をすべて勝たなければ無冠に終わる可能性は高いだろう。ここにきてメンディが負傷して、DFはさらなる人員不足に陥ったが、若い2人が初アシストを記録。チームが置かれた状況は厳しいが、これを乗り越えた彼らに待ち受ける未来は明るいのかもしれない。
(文:加藤健一)
●19歳と20歳の両SBが初アシスト! マルビンとミゲルのプレーがこれだ!
【了】