ラ・リーガ第36節、セルタ対ヘタフェが現地時間12日に行われ、1-0でホームチームが勝利している。日本代表MF久保建英はまたもスタメンから外れ、60分から出番を得た。しかし、スコアを動かす起爆剤にはなれず。同選手の今季は終了したも同然かもしれない。(文:小澤祐作)
評価されるのはまたも守備
スペインの地で日本人選手たちが軒並み苦戦を強いられている。
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エイバルの乾貴士と武藤嘉紀は共にここまでリーグ戦1得点。残留争いに巻き込まれるチームを助けることができていない。ウエスカのベテラン岡崎慎司は前半戦こそ出場機会に恵まれていたものの、指揮官交代後は出番が激減。3月から現在に至るまで、リーグ戦で先発起用されたのはわずか1度のみだ。
そして久保建英。今冬ヘタフェに加入した19歳の日本代表戦士は当初こそピッチに立つ時間が多かったが、シーズンが進むにつれ序列はどんどん低下してしまった。今や、ベンチを温めることが「普通なこと」になっている。
第35節エイバル戦から中2日で迎えた第36節セルタ戦、ホセ・ボルダラス監督は何名かの選手を入れ替えこの試合に臨んだが、そこに久保の名はまたもなかった。日本人MFのベンチスタートはこれで4試合連続だ。
セルタのホームに乗り込んだヘタフェは24分にノリートに点を許し、いきなり1点ビハインドを背負う。その後も1-0というスコアが動くことはなかった。
久保に声がかかったのは60分で、フアン・イグレシアスに代わり右サイドハーフに入っている。30分以上も出番を得るのは久しぶりのことだったが、背番号5はボールを持てば非凡なアクションを起こすなど、奮闘していた。
しかし、攻撃面よりも目立ったのは、やはり守備面での頑張りだ。実際、久保はスコアを動かす起爆剤にはなれず、試合後の声もディフェンスを評価するものが多くなっている。ただもちろん、それが久保にとって序列を変え得る最高の評価とはならない。ヘタフェの選手がディフェンスを頑張るのは、当たり前のことだからだ。しかも、他の選手は久保よりも高いレベルでその任務を行う。つまり日本人選手の「献身的な守備」といった評価は、ほぼ意味がない。
データサイト『Who Scored』によるセルタ戦の久保のレーティングは「5.9」。GKダビド・ソリアに並び、出場した選手の中で最低の評価となっている。上記した通り足元で受ければそれなりのスキルを示したが、そもそものポジションが低く、相手ゴール前に出ていけず、気づけば守備に奔走。これならば、別に久保でなくても良かったというのが正直なところだ。
残り2試合。久保は…
もちろん、これらのことは今に始まったわけではない。
カルレス・アレニャと共にヘタフェに加わった当初、同選手と久保はクラブのスタイルを変える存在と思われた。しかし、バルセロナのカンテラ出身者二人を起用するも結果が出ず失点ばかりが増えると、ボルダラス監督は「原点回帰」。勝つためではなく、守備を重視し負けないためのサッカーを貫くことになる。
この時点で、久保とヘタフェのスタイルは真逆のものとなった。若きレフティーはボールを持ってこそ輝くが、ヘタフェはそもそもパスを繋ぐことに意識を置いておらず、奪ったらすぐに縦へ展開し、とにかく走る。ボールが地上にある時間よりも、空中にある時間の方が長いのはほぼ毎試合のことだ。
その中で久保がチームに提供できるメリットはどんどん減った。仕掛けようにも単純な問題としてボールを持てず、肝心な結果が出ない。守備面では頑張りを見せているが、フィジカル強度と運動量はボルダラス監督の求める基準を満たしていない。ヘタフェが原点回帰した時点で、久保の序列が下がるのは必然のことだった。
今季のリーグ戦も残り2試合。ヘタフェは勝ち点34の16位と、残留争いの真っただ中にいる。最下位エイバル相手にすら貫いたように、当然ながらヘタフェは残り2試合でも守備を重視し、しぶとく勝ち点を取りに行くだろう。
その中で久保に出番は訪れるのだろうか。エイバル戦から中2日でのセルタ戦ですらスタメンに起用されなかったことを考えても、今後も先発出場の可能性は薄く、ピッチに立つことがあったとしても後半の残りわずかとなるだろう。日本人MFの今季は終了したも同然だ。
ヘタフェで守備意識を向上させたことは、久保個人にとってはポジティブなことなのかもしれない。ただ、攻撃的MFとして成長するという意味で、ヘタフェは最適な場所ではない。来季の所属チームは慎重に選ぶべきだろう。
(文:小澤祐作)
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参照元:DAZN
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