ラ・リーガ第33節、バルセロナ対グラナダが現地時間29日に行われ、1-2でアウェイチームが勝利している。勝てば首位浮上を果たせたバルセロナだが、まさかのカンプ・ノウで黒星。一体何が起きたのだろうか。(文:小澤祐作)
スタートダッシュには成功
アトレティコ・マドリードとレアル・マドリードのサポーターは歓喜しただろう。バルセロナが、この重要な時期にホームで勝ち点を落としたのだから――。
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勝てばラ・リーガ首位に浮上することができたバルセロナは、前半の内容こそ悪くなかった。戦前の予想通り自陣に人数をかけてブロックを築くグラナダに対し、ライン間と横幅に選手を配置し相手DFの背後を狙う。そうしてディフェンスラインをじわじわと下げさせていた。
相手のラインが下がると、必然的にアンカーのセルヒオ・ブスケッツが空く。背番号5から繰り出されるパスはまるで的を射抜く矢のように鋭く、一瞬にしてブロックを攻略している。18分には、ブスケッツの左足スルーパスから、最後はアントワーヌ・グリーズマンのフィニッシュに繋がることがあった。
ポゼッション率を高め続けたバルセロナは、グラナダにチャンスをほとんど与えていない。そんな中、リオネル・メッシとグリーズマンが巧みなパス交換で固いブロックを破り、最後は背番号10が仕留めて先制。ここまでのバルセロナに、何ら大きな問題はなかった。
その後もホームチームはグラナダを押し込んでいる。しかし、メッシが決定機を外してしまうなど、追加点が入らない。結局1-0のまま45分間を終えてしまった。
自分たちで作った問題
勝てば首位という意識があり慎重になったのかは定かではないが、バルセロナは後半の入りが緩かった。そうしてギアが上がらぬまま時間を過ごすと、グラナダにワンチャンスをモノにされることになる。
この日のバルセロナはDF個々のパフォーマンスレベルが低く、一つひとつの軽い対応が連鎖して失点を重ねている。63分にはサミュエル・ウンティティが前に出るも捕まえきれず簡単に前を向かれスルーパスを出され、オスカル・ミンゲサの背後を突かれる。右ウイングバックのセルジ・ロベルトは戻り切れず、ダルウィン・マチスにゴールネットを揺らされてしまった。
同点に追いつかれたバルセロナは勝ち越そうと攻め、ある程度チャンスも作った。しかし、前半同様仕留め切れない。ついには早い時間からジェラール・ピケが前線に出てパワープレーに転じるなど、焦りの色を隠し切れていなかった。
そしてモヤモヤした時間を過ごし続けると、80分に悲劇。アドリアン・マリンのクロスにホルヘ・モリーナが合わせ、グラナダが逆転したのである。
クロスを上げられる直前に若干最終ラインを飛び出していたピケは、モリーナの存在を完全に見失っていた。グラナダFWを確認できた頃には遅く、クロスは自身の背後へと抜けている。その相棒を務めるウンティティも、ピケとの距離感などを考えてもカバーに入ることは難しかった。
戦術どうこうではなく、この日のバルセロナの問題は“決定力不足”と耐えきれない“強度の低い守備”という非常にシンプルなものだった。ラ・リーガ首位浮上のチャンスを、自分たちの手で消してしまったと言える。
モリバのスタートは厳しい?
決定力不足と強度の低い守備以外の敗因をもう一つあげるならば、クーマン監督の采配になるだろう。とくに後半、ベンチワークに疑問が残った。
オランダ人指揮官はこの日、今や主力となったペドリではなく、18歳イライシ・モリバを中盤でスタートから起用している。同選手がリーグ戦でスタメンに名を連ねたのは、第23節アラベス戦以来2度目のことだ。
カンテラ出身で「NEWポグバ」とも称されるモリバは、何度か効果的なプレーを見せていた。しかし、全体的には試合に入り切れていない印象が強く、消えている時間もあった。
バルセロナのカンテラ出身者には珍しくフィジカルに長け、もちろん足元の技術も非凡なものを持っている。ただ、グラナダのように引いた相手に対してどのようにポジショニングしボールを引き出すのか、どのようにスペースを作り出すのかといった部分に関しては課題を残した。比較対象がペドリになるのは酷だが、やはり攻撃にアクセントを加えるという意味では、物足りなかった。
しかし、クーマン監督はそんな同選手を緩さが否めなかった後半の27分まで起用している。モリバが戦犯扱いされるほど悪かったわけではないが、リズムを変えるためにもっと早めに下げて、リキ・プッチやペドリを投入することがあっても良かったように思う。正直なところ、引っ張り過ぎたと感じている。
モリバはまだ18歳。これからどんどん成長していくことは確かだが、上記した問題を考えてもやはり現時点でトップチームのスタメンを張るのは難しいだろう。そういった意味で、トップチームですでにバリバリにやれている18歳ペドリは異常だ。
(文:小澤祐作)
【了】