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Jリーグ 4年前

横浜F・マリノスの守備が堅い! 「昨年欠けていた部分は…」、驚異的な活躍を見せた4人とは?【英国人の視点】

シリーズ:英国人の視点 text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

明治安田生命J1リーグ第11節、横浜F・マリノス対横浜FCが24日に行われ、5-0でマリノスが大勝した。無敗記録を9試合に伸ばしたマリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は、「我々は毎回の試合で良いレベルを維持できる」と、好調の理由を挙げる。それを実現しているのは、驚異的なディフェンスを見せる前線を中心とした守備にあると言えるだろう。(取材・文:ショーン・キャロル)

大勝の横浜F・マリノス、堅守の理由は?

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【写真:Getty Images】

 アンジェ・ポステコグルー監督率いる横浜F・マリノスは、いつも攻撃意識を持ったチームとして戦い続けてきた。オーストラリア人指揮官自身もよく言っているように、良い時には非常に良いチームだが、良くない時にはかなり悪くなってしまう。それは特にディフェンス面で影響が出ていた。

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 横浜FCを5-0で粉砕した先週末の試合は、マリノスが攻撃面で発揮する力の大きさを改めて存分に示すものとなった。開始から15分間ほどの苦しい時間帯を乗り切ると、その後は一方的な戦いぶりで同じ町のライバルチームを叩きのめした。さらに点差が開いてもおかしくはない大勝だった。

 しかし、この試合で目を引いた部分は前線の得点力だけではない。マリノス守備陣が新たに獲得した堅固さも、より明確に強調される機会となった。2020シーズンを通してJ1でマリノスがクリーンシート(無失点)を達成したのは6回にとどまったが、今年はこのダービーマッチですでに5回目。しかもそれを最近7試合で達成したおり、この期間中は合計わずか3失点しか喫していない。

「2つのことはお互い繋がっていると思う」。FW陣が休まず走り続けることと、チームの現在の守備の堅さについて問われたポステコグルー監督はそう答えた。「守備が良くなった理由は前線の選手たちが必死にハードワークしてくれるおかげだ。彼らこそが最初の守備ラインだ」

「その部分には常に取り組んでいるが、選手たち自身の力でもある。そういう選手たちだからこそ連れてきた。我々のチームでストライカーとしてプレーしたいと思う選手は、ゴールを決めるチャンスもたくさんあるが、守備面でも必死に働いてもらわなければならない」

横浜FCの脅威となった4人

「今日は本当にそこが鍵だったと思う。ヨコハマ(FC)がオープンな戦いで間延びした陣形になることは多くないと分かっていたので、チャンスが訪れるとすれば彼らが自陣内でボールを失った時だと考えられた。そこでボールを奪い返してもう一度押し込んでいきたいと思っていた」

 前田大然やマルコス・ジュニオール、エウベル、オナイウ阿道といった選手たちを手駒として揃えている以上、意欲的に走ってくれる選手に事欠くことはない。横浜FCの立ち上がりの勢いが衰えたあとは、この4人が常に脅威となった。前線で走り回りボールを追いかけて相手を追い詰め、横浜FCに余裕を持ってボールを保持する時間を全く与えなかった。

 相手ボール時のマリノスの奮闘ぶりを体現する存在が前田だ。この23歳がピッチ前方を駆け回るスピードはまさに驚異的と言うほかない。4人の前線の左サイドをスタート位置とする前田は、キックオフの笛が鳴った瞬間からスピードと積極性とエネルギーに満ち溢れていた。フィニッシュが残念なものになってしまうことはあっても、決して熱意を枯らすことはない。

 相手GKにバックパスが返された場合、Jリーグの大半のチームはボールを扱う余裕を与えてしまうことが多い。しかし、前田、オナイウ、エウベルは六反勇治に対してゆっくりとボールを持つ時間を許すことはなかった。六反は急いで蹴り出すことを強いられ、マリノスに再びボールを奪い返されてしまう。そんなシーンがたびたび見られた。

走り続けた前田大然が報われたプレー

 マリノスのアタッカー陣は引いてプレーすることも厭わない。瀬古樹ら横浜FC守備陣はマリノスのMF陣とDF陣に前方を閉ざされるだけでなく、後方から戻ってくるFW陣からのチャレンジにも対処しなければならず、その両方を同時に相手にする状況も少なくなかった。

 52分の場面もそういう形で、前田は戻りながらプレスをかけて瀬古からボールを奪った。しかし、そこからエウベルへのパスを強く出しすぎてしまい、その10分後にももう一つゴールチャンスを逃している。それでも頭を下げることはなかった前田の努力は、71分についに報われることとなった。

 天野純が内側へ送ったパスはズレてしまったが、前田は俊足を生かしてマギーニョより先にボールへ足を出し、前線ですぐさまボールを奪い返す。そのわずか13秒後には、扇原貴宏からのクロスにゴール前の至近距離で合わせ、マリノスの4点目となるゴールを押し込んでみせた。

 だが待望のゴールを決めても足を緩めることはない。5分後にも再び水沼宏太からのロングボールに反応して裏へ抜け出しを図った。足元にボールを収めきれなかったこの場面が最後の見せ場となったが、前田との交代で投入されデビューを飾ったレオ・セアラも出場から1分と経たないうちにゴールを挙げることができた。

厚みの増す前線に「競争」はない?

「今後のスケジュールもまだ非常に厳しい。こういう選手たちが必要だ」。ポステコグルー監督は試合後に、攻撃陣の選択肢の豊富さについてそう語った。

「前線の選手たちは我々にとって非常に重要な存在だ。先程も言ったように彼らは必死にハードワークしなければならず、毎試合プレーさせるのは難しくなる。今回レオが入ってきたのは素晴らしいことであり、ファイナルサードの厚みが増すことになる。(仲川)輝人が戻ってくるのもそう遠くはないと思う。あと2週間程度だろう。彼も我々に必要な選手だ」

「(選手間に)競争があるということではないと思う。ただ単に、我々は毎回の試合で良いレベルを維持できるということだ。それこそが昨年の我々に欠けていた部分だ。一定した戦いをすることが全くできずにいた。良い試合ができる時は良かったが、良くない時にはあまりにもひどすぎた。今年はそこを修正しようとしてきた」

「ストライカー陣がみんなゴールを決めているのは良いことだ。今日は阿道も大然も非常に良かったし、エウベルも素晴らしかったと思う。マルコス・ジュニオールもようやく万全の状態に戻りつつある。チームにとって喜ばしいことだ」

 彼らにとって喜ばしい反面、他チームのDF陣にとっては頭の痛い問題だろう。誰が出場するかにかかわらず、現在のマリノスの前線と対峙するのは簡単ではない。

(取材・文:ショーン・キャロル)

【了】

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