【写真:Getty Images】
日本代表は30日、カタールワールドカップのアジア2次予選でモンゴル代表と対戦し14-0の大勝を収めた。
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両者の力の差は歴然だった。前半だけで日本が5点リードし、モンゴルは敗色濃厚に。そして試合終了時のスコアは14-0。後半アディショナルタイムだけでも3点決まった。シュート数35対2というスタッツを見ても、どれだけ一方的な試合だったかおわかりいただけるだろう。
しかし、モンゴル代表選手たちは最後まで「1点」を諦めずに戦い続けた。こうした大差がついた試合の場合、徐々に集中が切れてラフプレーが多くなりがちだが、モンゴルの選手たちはフェアプレー精神を忘れなかった。主審が色のついたカードを掲げることは一度もなかった。
試合後のスタッツを見ると、ファウルの数が多かったのはむしろ日本の方だ。モンゴルのファウルは「4回」に対し、日本は「10回」。プレー強度の違いがあるため、試合を支配していても接触時に反則を取られる回数が増えてしまったということだろう。
「素晴らしい経験であり、我々は最後まで諦めなかった。何を諦めなかったかというと、とにかく得点をしたいというモチベーションが高かった。我々の試合前の目標は、『とにかく1点でも入れよう』ということだった」
このように語ったのはモンゴル代表を率いるラスティスラブ・ボジク監督だ。日本戦が就任して2試合目となった指揮官は、次のように続けた。
「しかし、チームの力が違った。日本とモンゴルの差は非常に大きい。こういう大きな差がある場合、どういった教訓を得ることができるかという質問に答えを出すのは非常に難しい。ただ、今回は日本代表も非常にモチベーションが高かったと思う。もっと得点をしようというモチベーションの源になっているのは、1人ひとりの選手にワールドカップでメンバー入りのチャンスを掴み取りたいという意欲があったからだと思う。
1年以上にモンゴルと日本が戦った時とは状況が違う。日本代表の選手たちは本当にモチベーションが高く、最後まで1点でも多く取ろうとした。そういう中で、モンゴルの選手たちは日本の選手たちと対峙し、経験の差もあり、スコアにこれだけ大きな差もついてしまった。
モチベーションは両方のチームにあった。結果だけを見たらモンゴルにとっては良くないかもしれない。人が憶えているのは結果だけだから。しかし、この試合に関しては色々な側面から見ることができるので、自分としては結果だけにこだわりたくないと思う」
試合終了の笛まで1つでも多くのゴールを決めようとしていた日本代表選手たちの姿勢を称賛しつつ、ボジク監督は「経験」の重要性を説いた。たとえ実力差があろうとも、自分たちの成長をモチベーションの源泉として戦った日本代表の姿は、モンゴル代表選手たちにも好影響を及ぼしたのではないだろうか。
実力差が大きいのは試合前から承知の上で「1点でも入れる」ことを目標に戦い続けたからこそ、少なくない収穫を得られて「結果だけにこだわりたくない」という言葉につながったはずだ。フラストレーションを危険なプレーに変換することなく最後まで必死にボールを追いかけ、クリーンかつフェアに戦い続けたモンゴル代表の素晴らしい敢闘精神を称えたい。
(取材・文:舩木渉)
【了】