【写真:Getty Images】
日本代表は30日、カタールワールドカップのアジア2次予選でモンゴル代表と対戦し14-0の大勝を収めた。
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大迫勇也のハットトリックや伊東純也の2得点3アシストといった海外組の活躍のみならず、稲垣祥と古橋亨梧が2得点ずつ奪うなど国内組の躍動ぶりも目立った。そのなかでひときわ存在感を放っていたのが、先発で日本代表デビューを飾った松原健だ。
2014年以来の招集で初めて日本代表選手としてピッチに立つチャンスを得た松原は、13分に南野拓実の先制ゴールをアシストした。その後も26分と33分に日本の3点目と4点目の起点になると、39分には鋭いクロスで相手のオウンゴールを誘発。後半には68分の稲垣のゴールにつながるクロスを上げたのが松原だった。
後半アディショナルタイムにもアーリークロスで浅野拓磨のゴールをお膳立てし、フル出場で2アシスト。さらに間接的なものも含めれば、6得点に絡む大活躍だった。
松原と同じリオデジャネイロ五輪世代でモンゴル戦に先発出場した遠藤航は、「サイドバックも今はサイドをオーバーラップするだけじゃなく、中に入ってきてプレーしたり、所属クラブでもやっているのかなと。彼は良さをシンプルに出したと思うし、個人的には一緒にできたのを嬉しく思います」と語った。
世代別代表でもともに戦った盟友に、Jリーグでの成長を示すことができた。選手交代にともなってシステムが4-2-3-1から4-3-3に変更となった後半、中盤アンカー脇のスペースを埋める柔軟なポジショニングも披露して遠藤をサポート。常に積極的にボールに絡み、タッチ数はチーム最多の「112回」を記録した。
アウトサイドを縦に駆け上がるだけでなく、時にセントラルMFのようなポジショニングで様々な局面に絡む形は、横浜F・マリノスで近年取り組んできたもの。まさに所属クラブで培った成長を、日本代表で体現したと言える。
右サイドでコンビを組んだ伊東も「(松原)健と話し合って、森保(一)監督も言っているように、どちらかが(サイドの)幅を取れるようにやっていました。自分が幅を取っていた方が相手も嫌がっていたし、それで健が中に入ってシンプルに(パスを)落としたり、ワンツーでいったり、シンプルに縦に抜けてクロスを上げたり、相手の嫌なことをできたかなと思います」と松原との連係に手応えがあるようだ。
やや内側にポジションを取る松原から、右サイドを一気に前進するための縦パスが出て、アウトサイドの伊東が全速力で追いかけてチャンスにつなげるシーンは何度もあった。「今日は健が内側に入っていくスタイルがハマっていた」と、伊東は右サイドバックからの展開で決定機を量産し、最大の恩恵を受けていたと言える。前半の3点目と4点目は象徴的だ。
今月25日の韓国代表戦では、1学年下の山根視来が右サイドバックとして日本代表デビューを飾り、いきなり初ゴールを記録するセンセーショナルな活躍を見せていた。松原はそこからも刺激を受け、モンゴル代表戦には「日本代表に来て試合に出るのは、そう簡単なものではないと重々承知していまいしたけど、もう1試合あるということなので、そこには何がなんでも出たい」と闘志を燃やしていた。
7年ぶりに入った日本代表のベンチから日韓戦を見たうえで、「自分が入った時にどういうプレーができるかをずっと考えながら練習もしてきたので、もしモンゴル戦に出るのであれば、自分が思い描いたものを出していければいいかなと思います」と活躍のイメージもできていた。
「(山根)視来の場合はアタッキングサードまでしっかり上がっていけて、ビルドアップもできてという感じではあると思うんですけど、僕の場合はそこまで上がるよりは、その前でパスを選択するのがどちらかというと好きなので、そういうところを見ていただけたら嬉しいなと思います」
モンゴル戦前に、松原は自分と山根の違いをこのように説明していた。モンゴル戦では、まさに抜群のパスセンスが発揮されていた。伊東へのスルーパス、前線の味方につける鋭い縦パスなど、多様なパスを自在に蹴り分けて攻撃を加速させた。
もちろん自らアタッキングサードまで進出してチャンスメイクに直接関与する場面もあり、クラブで経験してきた内側に絞るポジショニングも柔軟にこなした。松原は酒井宏樹や室屋成、山根とは全く違うタイプの右サイドバックとして、日本代表の新たなオプションになりうる大きな可能性を示したのではないだろうか。
(取材・文:舩木渉)
【了】