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田中碧がピッチ上の支配者に「圧は感じなかった。まだまだやれる」。海外組との差は「早く埋めないと」

text by 編集部 photo by Shinya Tanaka

田中碧
【写真:Getty Images】

 U-24日本代表は29日に行われたSAISON CARD CUP 2021で、U-24アルゼンチン代表に3-0の快勝を収めた。

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 この試合に先発出場したMF田中碧は、26日に行われたU-24アルゼンチン代表との1戦目に出場できなかった。昨年1月のAFC U-23選手権の最終戦で一発退場となっていたため、26日の試合が出場停止になっていたためだ。

「2試合ある中で、僕自身は1試合しか出れない状況で呼んでもらっている。自分はこの試合のために準備していたので、そういうパフォーマンスをしないといけないと思っていたし、1試合目がそんなに良くなかった中で、2試合目が始まる前に、僕自身にもプレッシャーをかけていました。いろいろな記事を読みましたけど、期待されている部分も少なからず感じていたので、それもプレッシャーに少し感じながら、楽しみながらできました」

 紛れもなくピッチ上の支配者だった。堂々たるパフォーマンスで中盤を制圧し、日本の全ての攻撃が田中碧を経由していたと言ってもいいほど。本人は「満足するパフォーマンスはしていない」と語るが、存在感は圧倒的だった。

 試合前には1戦目の反省を踏まえ、「もっと裏のスペースを狙うべき」と自らの考えをはっきりと口にもし、実際に出場した試合でも「常に間に立ちながら、いろいろな人をつなぐ役割できればといいのかなと思った」と縦にも横にも正確かつクリティカルなパスを連発した。

 ボールを持たずとも、積極的に周りを「声」でも動かし、ハーフタイムからピッチに戻ってきた時には全員の輪の中心で身振り手振りをまじえながら、自分の意見を発信。他の選手たちがそれに聞き入るような、抜群の求心力を発揮していた。

「敵の攻撃もそんなに形があるわけではなかったので、自分が中央に立っていて、最近は上から見ている感覚じゃないけど、どうすればハマるのか、ある程度頭の中では計算というか、イメージできるようになってきていました。

それをいろいろんな選手に伝えることが、自分自身もやりやすいし、チーム全体が良い方向にいくのかなと思うので、自分がプレーに関与することもそうだし、声で味方を動かしてゲームを作ることも大事だと思うので、それが少しはできたかなと思います」

 自信は深まっている。東京五輪で金メダル候補に挙げられるアルゼンチンに対しても「僕自身、圧は感じなかったというか、まだまだやれるなと感じた」と田中碧は語る。一方で、自信を過信にすることなく、地に足をつけて貪欲に成長を追い求めていく重要性もよく理解している。

「自分自身、常に上を目指しているし、この試合に勝つことが目標ですけど、ただやっぱり、自分自身が成長するためにやっている部分もある。今もA代表でプレーしている(同世代の)選手もいるし、そこに割って入っていかないといけない。海外で海外の選手とバチバチやっている選手がいる中で、自分は国内でやっているので、そこの差はいち早く埋めないといけないというのもあります」

 川崎フロンターレが誇る若手のホープは、司令塔として大きく成長した姿を披露した。ピッチで起こっている現象を俯瞰で把握する「上から見ている感覚」が備わりつつもある。これまでの常識を覆すようなセントラルMFへの飛躍を期待したい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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