コンセイソン監督の工夫
後半に入ってさっそく、ユベントスは1点を返すことができた。レオナルド・ボヌッチのロングボールをクリスティアーノ・ロナウドが落とし、最後はフェデリコ・キエーザ。ポルト守備陣に一瞬、隙が生まれていた。
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そのポルトを更なる悲劇が襲った。イラン代表FWメフディ・タレミが主審のホイッスルが鳴った後にボールを大きく蹴ってしまい、イエローカードを受ける。同選手にとってこの日2枚目の警告だった。
一人少なくなったポルトだが、ここからセルジオ・コンセイソン監督は様々な策を講じている。
ポルトにとって脅威となっていたのは、アルバロ・モラタでもC・ロナウドでもない。ファン・クアドラードだった。コロンビア代表DFのピンポイントクロスは前半から可能性を感じさせており、幾度となくチャンスを演出している。とにかくゾーンに入ったように、味方にボールを届けまくっていた。
もともとウインガーで突破力のあるクアドラードを、ポルトが最初から警戒していなかったわけではない。左サイドハーフのオタービオをマークに付かせている。ただ、オタービオは攻撃の選手なので、被カウンター時はクアドラードへの対応が遅れることがあった。そして、同選手は前半終了間際にイエローカードを受けている。あまり激しく行くことも難しくなっていた。
それを受けコンセイソン監督は、62分にオタービオを下げマラング・サールを投入している。後ろ6枚で守る中、ザイドゥ・サヌシを大外に出し、その横(内側)にサールを置いた。
しかし、その直後に失点。キエーザに頭で押し込まれたが、クロスを上げたのはクアドラードだった。サヌシがサイドに張っていたもう一人の選手を警戒するため引いた位置から動けず、背番号16にフリーでボールを持たせてしまったのだ。結果的に6-2-1(ほぼ6-3)で守るポルトが、中盤脇のエリアの甘さを突かれてしまった。
これを見たコンセイソン監督は再び動いている。2失点目から10分も経たないうちに左サイドバックのサヌシを下げ、ルイス・ディアスを投入。サールをサイドバックに置き、守備時4-4-1に変更している。失点シーンで使われた中盤脇を締め、かつスピードのあるディアスを投入したことでリスクを負いながらもカウンターを仕掛けようという狙いだった。
期待されたC・ロナウドは…
コンセイソン監督の工夫は決して悪くなかった。数的不利で押し込まれる時間帯は続いたが、終盤には途中でピッチに送り出したディアスの突破が効き、マレガが決定機を作っている。4-4-1の守備も、大きく崩れることはなかった。
流れの中で色々と工夫を施したポルトに対し、ユベントス側は大きな解決策を見出すことはできなかった。中央が堅いためサイドに流れるのは致し方ないが、あまりにクアドラードのクロスに頼り過ぎてしまっている。数的優位の中、このパターンしか得点の匂いがしなかったのは問題である。
もう一つ問題だったのは、C・ロナウドとモラタがほとんど仕事を果たせなかったことだ。とくに、「CL男」としてユベントスに歓喜をもたらすことが期待された前者は、ポルトの守備ブロックを前にまるで「空気状態」。アシストは一つ記録したが、守備強度は高くなく、シュート数5本(全体は31本)、枠内シュート2本、ドリブル成功数0回、ボールロスト17回、デュエル勝利数10回中3回、パス成功率81%とお世辞にも良い数字が並んでいるとは言い難い。
もちろんC・ロナウドに対する期待値が大きすぎた影響もあるだろうが、今回の試合に関しては戦犯扱いされても仕方ないと感じる。モラタとの2トップが機能しているとは言い難く、そうなると力を発揮することが厳しくなる。C・ロナウドにとってもユベントスにとっても、大きな課題となりそうだ。
(文:小澤祐作)
【了】