ハーランドの2発でセビージャを沈める
1stレグを2-3で落としたセビージャは立ち上がりからアグレッシブにボルシア・ドルトムントのゴールに向かった。しかし、ドルトムントも粘り強くゴール前を固めて凌ぐと、少ないチャンスをものにしている。35分にショートカウンターから先制すると、54分にはPKから追加点を挙げた。
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3点が必要となったセビージャは69分にPKから1点を返すが、時間が足りなかった。後半アディショナルタイムにユスフ・エン=ネシリの2ゴール目で追いついたが、2戦合計のスコは5-4となり、セビージャは一歩及ばす。ドルトムントが準々決勝へ駒を進めた。
この日も主役はアーリング・ハーランドだった。左サイドのポケットを縦に切り込んだマルコ・ロイスの折り返しをゴール前で合わせて先制点を奪う。さらに、左サイドでボールを受けると、相手を引き寄せながらボールを運んでトルガン・アザールに渡す。ハーランドはゴール前に駆け上がってリターンをもらい、角度のない位置からゴールに流し込んだ。
このプレー自体はシュート前のボディコンタクトでファウルを取られてゴールを認められず。しかし、ジュール・クンデに倒されたその前のプレーがファウルとなり、ドルトムントにPKが与えられた。1度目はGKブヌにコースを読まれてセーブされたが、ブヌの足がゴールライン上から離れていたため、PKはやり直し。ハーランドは2度目も同じコースに蹴って成功させている。
ゴール量産のメカニズム
ハーランドはゴール前で相手のマークを外す技術が抜群に巧い。先制ゴールのシーンでは、ゴール前にいくフェイントをかけて止まった。ジエゴ・カルロスはゴール方向へのコースを消しに行ったため、急に止まったハーランドに対応できなかった。GKはロイスを止めに出ており、フリーになったハーランドは無人のゴールに流し込むだけだった。
このゴールは3日前に行われたデア・クラシカー、バイエルン・ミュンヘン戦で決めた2点目と逆の動きである。この時は急発進して空いたニアのスペースに飛び込み、セビージャ戦と同じようにワンタッチで決めた。ハーランドは緩急を自在に操り、欧州制覇した2チームを翻弄している。
出し手はハーランドを見ているというよりは、空いたスペースを見ているのかもしれない。マークがついてくればハーランドは止まればいいし、スペースが空けば走りこめばいい。出し手はスペースに出せば、そこにハーランドはいる。瞬時にその判断を下すのは至難の業だが、言葉で表すと至極シンプルになる。194cmの大きな身体が目立つが、その身体をどう動かすか、という判断の部分が際立っている。
このゴールパターンは一部に過ぎない。斜めにDFラインの裏を抜けて自らゴールを奪うこともできるし、DFの寄せが遅れればミドルレンジからでもゴールを狙う。変幻自在のゴールゲッターを完璧に封じる方法は、現時点で見つかっていない。
(文:加藤健一)
【了】