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香川真司 4年前

香川真司のプレーはどうなのか? のしかかる半年間のブランク…その中で得たわずかな収穫は【分析コラム】

ギリシャ・スーパーリーグ第24節、アステラス・トリポリス対PAOKテッサロニキが現地時間27日に行われ、2-1でホームチームが勝利している。日本代表MFの香川真司はベンチスタートとなったが、63分から出番を得ている。しかし、違いを創ることはできなかった。その理由は。(文:本田千尋)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

目の前の試合にかける気持ちの差

香川真司
【写真:Getty Images】

“違い”を創ることはできなかった。27日に行われたギリシャ・スーパーリーグ第24節。PAOKテッサロニキは敵地でアステラス・トリポリスと対戦した。

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 トリポリスは、クレタ島に向かって突き出したペロポネソス半島の中央部に位置する人口3万の都市。近辺に3つの古代遺跡があることから「3つの都市」を意味するという。しかし、そんな小都市を本拠地とするチームであるにもかかわらず、チームとしての完成度の高さは、前節対戦して圧勝したPASラミアとはまるで違った。

 アステラスは、前線、サイド、バイタルエリアの全てのエリアにおいて守備組織が整備されており、プレッシングは組織的で鋭く、構築するブロックの強度も高い。前半からPAOKは、このアステラスのインテンシティーに苦しんだ。

 両ワイドで主力のクリストス・ツォリスとアンドリヤ・ジブコビッチがベンチスタートだったこともあるが、中央でトップ下のアムル・ワルダにボールが入らず、サイドでもあっという間に同数でハメられ、アステラスの守備組織の中で“違い”を創れる選手がいなかった。バイタルエリア近辺の守備も固く、センターフォワードのミハエル・クレメンチークも、ボックスの手前でキープしようとしても複数で囲まれて潰されてしまう。

 そもそもPAOKは既にプレーオフ進出を決めており、一方でアステラスは当落線上の6位。目の前の試合に掛ける気持ちの差が、どうしても両チームのインテンシティーの差に繋がったところはあっただろう。PAOKは、4日後の3月3日にカップ戦の準々決勝PASラミア戦が控えており、目の前のアステラス相手に無理をする必要はない。

 もちろんPAOKの選手たちが端から試合を放棄していたわけではない。しかし、37分、それまで何度も鋭いサイドアタックを仕掛けてきたシトにスーパーボレーを突き刺されリードを奪われると、PAOKは劣勢を跳ね返すことができなかった。

まだまだ実戦をこなしていく必要がある

 後半に入って、両サイドが主力のツォリスとジブコビッチに代わったが、アステラスが自陣に構築する[4-4-2]の守備ブロックは引き締まっており、カウンタープレスも鋭く、PAOKは引き続き苦しんだ。

 55分には、GKからのロングキックをそのまま前に繋がれてルイス・フェルナンデスに2点目を奪われてしまう。そんな形成が不利の状況で、63分、香川真司に出番が回ってきた。

 背番号23は、ダブルボランチの一角を務めていたエル・カドゥーリに代わっての出場だったが、そのまま6番のポジションに入るのではなく、ワルダと並んで左のインサイドハーフに入った。香川と同じタイミングでSBババ・ラーマンが入ったことで、PAOKは[4-1-4-1]に布陣変更。前に人数を掛けて攻め込んだ。

 しかし、2点をリードするアステラスは、バイタルエリアに[5-4]のブロックを構築し、その守備はあまりに強固で、PAOKの選手たちはその牙城を崩すことができない。香川がボックスの中でボールを貰ったとしても、複数で対応され、仕事をさせて貰うことができなかった。

 もちろん敵の守備組織の強度の違いはあるが、前節のラミア戦に比べて、背番号23は“らしさ”を発揮することはできなかった。香川は外ではパスを回したが、なかなかペナルティーエリアの中に効果的なボールを入れることは出来ない。味方との連係も噛み合わないところもあり、80分、ボックスの右の角の手前でボールを失ってアステラスにカウンターを許しそうになる場面もあった。

 前節のラミア戦に比べると、パフォーマンスが不安低なところがあり、アステラスを相手に香川が“違い”を創ったとは言い難い。やはり約半年のブランクがあったことで、歴戦の日本人MFのコンディションが安定するには、まだまだ実戦をこなしていく必要もあるだろう。

 もっとも、このアステラス戦で“プレーオフの強度”を体感できたことは、香川にとっても収穫だったのではないか。結局、試合は1-2で敗れたが、本当に重要なことは、チャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)といった欧州の舞台への切符が掛かったプレーオフで活躍すること。プレーオフで“違い”を創るために、このアステラス戦は、大切な物差しとなるに違いない。

(文:本田千尋)

【了】

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