8戦未勝利のサウサンプトン
「特に後半、彼らは非常に良いチームで、1対1のクオリティとより多くのエナジーに我々はやられた。これが今日の試合で敗れた理由だ」
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サウサンプトンを率いるラルフ・ハーゼンヒュットル監督は試合をこう振り返った。土曜日の試合でチェルシーに引き分けて、7試合ぶりにプレミアリーグで勝ち点を得たが、リーズには3失点を喫して完敗。これで8戦連続未勝利となった。
南野拓実は加入から4試合目にして初めてのベンチスタートとなった。チェルシー戦から中2日という日程で、エースのダニー・イングスも温存されたことを考えると、後半からの投入がゲームプランに食い込まれていたのだろう。実際、1点ビハインドの58分にイングスと南野は同時投入されている。
南野は2列目の右に入ったが、チームに吹いていた逆風を跳ね返すことはできなかった。32分の出場でボールタッチはわずか13回。シュートは0本で、ボックス内で一度もボールに関わることができなかった。
サウサンプトンは欠場が続くカイル・ウォーカー=ピータースの代役が務まる選手がいない。チェルシー戦からはセンターバックが本職のヤン・ベドナレクを起用しているが、ハイプレスやカウンターの面では迫力不足は否めない。重心を低く設定して後ろに厚みを持たせているが、うまくいっているとは言い難い。
中盤の4人には広いエリアをカバーする走力と、1対1の強さが求められる。ウォーカー=ピータースの不在が遠因として、中盤への負担が大きくなっている。
「タックル・オブ・ザ・シーズン」と現地メディアに称えられたプレーでリーズの決定機を阻止したロメウは70分に負傷交代。タフな彼らでさえ負担の限界は超えており、リーズが繰り出すロングカウンターの餌食となっていた。
顕著に現れた南野拓実の弱点
前節のチェルシー戦で決めた南野のゴールは見事だった。相手DFの間で縦パスを引き出し、ワンタッチで抜け出す。シュートフェイントで相手DFとGKを倒すと、左足でゴールに流し込んでいる。
FWが相手のセンターバックの脇に流れ、2列目の2人が中央に流れる攻撃はサウサンプトンの十八番だった。そして、ライン間でボールを受けるは南野の得意とする動きでもある。チームとしての狙いと南野の特徴が噛み合ったことで生まれたゴールだった。
リバプール時代は相手が引いて守る展開が長かったので、ライン間のスペースを埋められることも多かった。サウサンプトンではボールを持たれる時間もあるので、南野が必要とするスペースが生まれることも多い。
しかし、身体を寄せられると、簡単にボールを奪われてしまう。マークがつかれている状況では、味方がパスを躊躇する場面も多かった。特に、リーズの守備はほぼマンツーマンで対応するので、南野の弱点は顕著に現れていた。
素早いターンだけでは相手に読まれるので、現状ではワンタッチで味方にはたくという選択肢しかない。しかし、バックパスが増えるとサウサンプトンらしい攻撃にはつながらない。指揮官は「1対1のクオリティ」を敗因に挙げたが、南野も当然のごとく例外ではない。
アームストロングのようなキープ力を一朝一夕で身に着けるのは難しい。しかし、フィジカルコンタクトに対応するための引き出しは必要だ。南野はプレミアリーグで生き残る術を見つけなければならない。
(文:加藤健一)
【了】