マッチプレビュー
【写真:Getty Images】
ラツィオとバイエルン・ミュンヘンがマッチアップするのは今回が初めてのことだ。
ラツィオはチャンピオンズリーグ(CL)の舞台で過去6度ドイツ勢と対戦しており、わずか1回しか負けたことがない。なお、本拠スタディオ・オリンピコでの対ドイツ勢では無敗を維持している。
対するバイエルンはこれまでに4度スタディオ・オリンピコで試合を行っており(すべてがローマ戦)、2勝2分と互角の結果を収めている。2014/15シーズンにはローマに対し1-7で大勝しており、クラブ史上CLアウェイ戦最多得点勝利を記録していた。
ラツィオを率いるシモーネ・インザーギ監督は、先週末に行われたサンプドリア戦後「彼らは、我々が抽選で選びたくなかった唯一のクラブだった」と本音を漏らしていた。現欧州王者であり世界王者でもあるバイエルンは、ラツィオにとって国内で戦うユベントスやインテルよりも遥かに大きな壁になることは間違いない。
アグレッシブなミドルプレスで相手のビルドアップを遮断し、奪ったら一気に攻撃を加速させるスタイルがラツィオの強みだ。バイエルンのような強敵相手に恐れることなく、どこまでそのストロングポイントを貫けるかがこの試合の大きなポイントになるだろう。
気をつけたいのはウイングバックの裏、つまり3バックの脇のエリアだ。ラツィオの最終ラインにはスピード系ではなく、パワー系の選手が揃うので、快速自慢のレロイ・ザネやキングスレー・コマン、アルフォンソ・デイビスなどにスペースへ抜け出されてしまうと必然的に大ピンチを招くことになる。いつも以上の集中力が必要だ。
注目選手はやはりチーロ・インモービレだ。昨季のセリエA得点王であり、欧州最多得点者でもある同選手のアクション一つが、ルイス・アルベルトやセルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチらのクオリティーを引き出す意味でも重要となる。もちろん最後に求められるのは、バイエルンを沈黙させる得点であることは間違いない。
バイエルンの守護神であるマヌエル・ノイアーは、1-2で敗れたフランクフルト戦後に「僕らは最初から問題に直面していた。立ち上がりからピッチ上でのアグレッシブさが必要なんだ」と話した。また、ハンジ・フリック監督は「序盤から(アグレッシブさを取り戻した)後半のようにプレーしていれば、勝者は我々だったはずだ」とコメントを残している。
バイエルンはそのフランクフルト戦の反省を、ラツィオ戦でしっかり生かしてくるだろう。トップ下に入ると予想するレオン・ゴレツカ、右サイドバック起用が予想されるニクラス・ジューレのパフォーマンスなど、気になるポイントは様々あるが、ノイアーの言葉通り、チームとして最初からアグレッシブにプレーできるか。まずはここがカギとなる。アウェイの地でタフに戦い、ラツィオにペースを握らせなければ、勝利の女神はバイエルンに微笑むだろう。
注目選手はロベルト・レバンドフスキだ。仮にチームとして苦しい状況にあっても、この男にはすべての状況を覆す一発がある。左右両足、頭、ペナルティーエリア内、ペナルティーエリア外…どこからでもゴールを奪えるポーランドの大エースが結果を残せば、チームとしても勢いがつくはず。欧州年間最優秀選手の力をここでも証明したい。
【了】