マッチプレビュー
【写真:Getty Images】
ベンフィカとアーセナルが対戦するELのラウンド32は、新型コロナウイルスの影響により中立開催になった。1stレグの会場はイタリアの首都ローマにあるスタディオ・オリンピコとなる。主審は欧州カップ戦ではおなじみのトルコ人のジュネイト・チャクル氏に決まっている。
両クラブの過去の対戦は2試合しかない。1991/92シーズンのUEFAヨーロピアンカップ(現UEFAチャンピオンズリーグ)の2次ラウンドで激突し、1stレグはベンフィカのホームで1-1のドロー、2ndレグはアーセナルのホームでベンフィカが1-3で勝利。延長戦を制したベンフィカが勝ち進んだ。
グループステージを全勝で決勝トーナメントに進んできたアーセナルは、ここからタイトル獲得に向けて本腰を入れてくるはず。若手中心で戦ってきたこれまでとは全く別のチームになるだろう。プレミアリーグでは苦しんでいるものの、ELでビッグクラブのプライドを示したい。
一方、ベンフィカも国内リーグでは苦戦が続いている。ポルトに奪われたリーグタイトルを取り返すことを至上命題に掲げたシーズンだが、現状は4位と低迷。2021年に入ってからは停滞感が強く、勝ちきれない試合が増えている。ELで浮上のきっかけをつかみたい。
キーマンとなるのはポルトガル代表MFピッツィだ。同選手はグループステージの6試合で6得点を奪い、大会得点ランキングではリールのトルコ代表MFユスフ・ヤズジュと並んで首位タイにつけている。最近はベンチスタートの試合も増えているが、現地メディアでは「ELのお守り」と呼ばれ期待は大きい。
また、ベンフィカに所属するウルグアイ代表FWダルウィン・ヌニェスもグループステージで5得点を挙げ、自身初の欧州カップ戦で気を吐いている。他にもスイス代表のFWハリス・セフェロヴィッチや、ドイツ代表FWルカ・ヴァルトシュミットなど質の高いストライカーが揃い、2列目にもブラジル代表のFWエヴェルトンやポルトガル代表のMFラファ・シウバら実力者がしのぎを削る。
アーセナルの守備陣は相手の豪華なアタッカー陣を食い止めることができるか。攻撃に出たら、崩しにおける重要なポイントは左サイドにあるかもしれない。ベンフィカの右サイドバックはDFアンドレ・アウメイダが負傷離脱中で、DFジウベルトも復帰したばかり。最近は本来右ウィングのMFジオゴ・ゴンサウヴェスが代役を務めている。
スピードや攻撃参加に長ける一方、やや守備に難があるのは否めない。ジオゴ・ゴンサウヴェスの対面となる選手が個のクオリティで圧倒できれば、アーセナルは攻撃パターンを作りやすくなる。FWニコラ・ぺぺやMFブカヨ・サカといったアタッカーたちの突破力は崩しの鍵を握る。
2試合とも中立地開催のため、例年のようなホームアドバンテージは極めて小さくなる。ローマの地で勝った方が、ギリシャに場所を移して行われる2ndレグを純粋に優位に戦える。イングランドとポルトガルを代表するビッグクラブ同士の激突は、ELラウンド32屈指の好カードだ。
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