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トッテナムは何もできず
マンチェスター・シティがとにかく強い。現地13日に行われたトッテナム戦を3-0と快勝したことでプレミアリーグ11連勝を達成。負けが続くリバプールや安定して勝ち点3を得られていないマンチェスター・ユナイテッドらを置き去りに、リーグトップの座を快走している。
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ジョゼ・モウリーニョ監督率いるトッテナムは4-2-3-1システムを用い、守備時は4-4-2でブロックを固めてシティ相手にカウンターを狙っていた。しかし、今や何でもできるジョアン・カンセロ、突破力のあるラヒーム・スターリング、不気味な動きを繰り返すイルカイ・ギュンドアンにベルナルド・シウバにフィル・フォーデン、そしてガブリエウ・ジェズス…。彼らが繰り出す柔軟な攻撃を前に混乱してしまい、かなり自陣深くへ押し込まれてしまった。
これにより、走力のあるソン・フンミンやルーカス・モウラらも自陣深くへの戻りを求められることに。そうなると当然、カウンターから敵陣ゴール前にボールを運ぶことが難しくなる。こうしてトッテナムは全くリズムを掴めず、タンギ・エンドンベレらは早い時間から明らかにフラストレーションを溜め込んでしまっていた。
トッテナムのチャンスは前半にあったハリー・ケインのフリーキックと、後半に途中出場のガレス・ベイルが3人を交わしてシュートを打ったシーンのみだろうか。ソン・フンミンは90分間でシュート0本に終わっており、モウラやエリック・ラメラも同様にノーフィニッシュという結果である。
データサイト『Who Scored』によるスタッツを見ても、支配率60.4%:39.6、シュート数15本:7本、パス本数698本:391本、パス成功率91%:86%と大きな差が出ている。これだけでも、いかにシティがトッテナムを圧倒していたかがわかるだろう。
ギュンドアンは職人
欧州5大リーグでは様々なストライカーたちが活躍している。
ミランでは今年で40歳になるズラタン・イブラヒモビッチが圧巻の輝きを放ち、すでにリーグ戦二桁得点をマーク。バイエルン・ミュンヘンではロベルト・レバンドフスキが相変わらず得点を量産しており、アトレティコ・マドリードのルイス・スアレスも流石のセンスを余すことなく発揮している。彼らの活躍が、それぞれのチームをレベルアップさせていることは明らかである。
そんな名ストライカーたちを上回るペースで得点を量産する選手がシティに存在する。驚きなのは、FWではなくMFが本職の人物だ。そう、ドイツ代表のイルカイ・ギュンドアンである。
ギュンドアンはトッテナム戦で2得点をマーク。これで今季のゴール数はすでに11となっており、ボーフム下部組織時代を除き、自身キャリアハイを更新し続けている。なお、その中の9得点は2021年に入ってから奪ったものであり、現時点でリオネル・メッシらを上回って2021年最高のスコアラーとなっている。
トッテナム戦の1点目はペナルティーエリア手前でボールを貰い、ボックス内角のスターリングへパス。そして首を振り誰もマークについていないことを確認すると、素早くボックス内の狭いスペースへランニング。スターリングからのパスを引き取り、ゴールネットを揺らした。
2点目はオフサイドにかからないよう斜めの動きを取り入れ、トッテナム守備陣の裏へランニング。GKエデルソンからの見事なロングフィードが通ると、先に寄せてきたダビンソン・サンチェスに身体をぶつけ、ボールをコントロール。そして右足でパスを収めすぐにまた右足で左側へ持って行ったことでD・サンチェスの体重移動を困難にさせ、最後はフリーでシュートを流し込んでいる。
相手の死角に入って狭いスペースを突き、非凡な技術を生かして決定機を作る。ギュンドアンのこうした一連の動きは、もはや職人技と言えるだろう。
セルヒオ・アグエロやG・ジェズスの離脱が長引いたことにより、今季のシティは苦肉の「偽9番」という策を取り入れた。その中で以前まではアンカー起用もあるなど黒子タイプとしてのイメージが強かったギュンドアンが、2列目から自身の本来の持ち味を100%出せるようになった。結果的にはであるが、センターフォワード不在がシティの新たな攻撃パターンの構築に繋がったと言える。
ギュンドアンという“新しい武器”を手に入れたシティ。一体どこまで走り続けるのだろうか。
(文:小澤祐作)
【了】