地力に勝るレアル・マドリード
エスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノのピッチは後半、強い風雨にさらされた。まるで両チームが置かれている状況を表すかのようなコンディションの中、勝ち点3を手にしたのは地力に勝るレアル・マドリードだった。
【今シーズンの久保建英はDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】
ヘタフェのホセ・ボルダラス監督は、前節のセビージャ戦で相手指揮官だったフレン・ロペテギとともに退場処分を受けた。指揮官がピッチの上から見守ったこの試合で、ヘタフェは原点回帰することになる。
冬に加入したカルレス・アレニャと久保建英はベンチスタート。「悪い結果が続いていたので、変えなければいけなかった」と説明した指揮官は、ポルティージョを6試合ぶりに先発で起用している。エネス・ウナルとクチョ・エルナンデスは負傷から復帰後初めて先発で起用された。
レアルはスーペル・コパ、コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)で立て続けに敗退し、1月はリーグ戦でも2勝1敗1分と停滞していた。さらに、セルヒオ・ラモスら負傷者が相次ぎ、ヘタフェ戦にはトップチームの選手を13人しか揃えられず。20歳のマルヴィン・パクがラ・リーガ初先発を飾っている。
ジネディーヌ・ジダン監督は布陣の変更を決断した。フェルラン・メンディが3バックの左に入り、マルヴィンとリーグ戦5試合ぶりの先発となったマルセロがウイングバックでプレー。3-4-3の形だが、出場停止のトニ・クロースの代わりに、マルセロはプレーメイカー的にピッチの広範囲でボールに関わった。
裏目に出た久保建英らの投入
ヘタフェのキャプテンを務めるジェネは前節で退場処分を受けている。このプレーでルーカス・オカンポスが負傷を負ったことで、ジェネはソーシャルメディアを中心に攻撃を受けたという。指揮官の言葉を借りれば、「彼は罪を犯したように」扱われてしまった。
「ジェネのプレーは完全に偶然で、ジェネは高尚な青年だ」と指揮官は擁護したが、他の選手たちへの影響もあったようだ。
指揮官は「セビージャ戦が大きく影響していた。選手たちは相手を傷つけることを恐れていた」と試合を振り返る。ネマニャ・マクシモビッチも「本当にひどい試合だった。気合が入っていなかったと思うし、200%でなければ何もすることができない」と苦言を呈した。
ヘタフェは前半にシュートを放てず。久保のチャンスは早い時間に訪れた。54分、ハイメ・マタ、アレニャとともに投入され、布陣は4-2-3-1に変更。先発メンバーに戻すことになった。
しかし、悪い出来事は連鎖する。守備の柱と球際の迫力を失ったチームは、ペナルティエリア内で決定的なチャンスを2度も与えてしまい、立て続けに失点。3人の投入で攻撃に転じようとした指揮官の目論見は裏目に出た。
久保建英は変わらなければいけない
右サイドに入った久保は、左サイドにも頻繁に顔を出した。しかし、35分間のプレーでボールタッチ数はわずか15回。パス成功率は50%という散々なスタッツだった。
「久保は成長してフィジカルレベルを改善しなければいけない選手だ。彼は若く、改善の余地がある。そして、ピッチの他のエリアにも顔を出して連係を見せる必要がある」
ボルダラス監督が挙げる久保の課題は、ビジャレアルのウナイ・エメリ監督が言っていたこととほぼ重なる。周囲との関係の中で個性を活かすのが久保の良さだが、ラ・リーガで活躍するためには変わらなければいけない。
ただ、レアル戦は久保が悪かったというより、チームとして何もできなかった。アレニャと久保を加えても、ヘタフェの得点力不足は解消されず。レアル戦では原点回帰ともいえる形で戦ったが、球際の迫力は生まれない。ヘタフェは負のスパイラルに陥っている。
強豪との対戦が続いているとはいえ、直近4試合で勝ち点はわずか1ポイント。ヘタフェは18位と4ポイント差の13位に転落した。久保の活躍以前に、チームとしてうまくいっていないヘタフェはお先真っ暗である。
(文:加藤健一)
【了】