フットボールチャンネル

守田英正、ポルトガル2戦目でも結果残す。苦しむ藤本寛也もカップ戦で存在感発揮、2人の今後の展望は?【分析コラム】

現地29日にポルトガルカップの準々決勝が行われ、日本人2選手が登場した。サンタ・クララに所属する守田英正は近年カップ戦で無類の強さを発揮しているブラガと対戦。ジル・ヴィセンテの藤本寛也は昨季王者ポルトとのビッグマッチに途中出場した。彼らのパフォーマンスはどんなものだったのだろうか。そして今後の展望は?(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

守田英正は失点に関与したが…

守田英正
【写真:Getty Images】

 ポルトガルで日本人選手たちが奮闘している。現地29日に行われたポルトガルカップ準々決勝には2人が登場した。

【今シーズンの欧州サッカーはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 サンタ・クララに所属する守田英正はブラガとの一戦に先発フル出場。ジル・ヴィセンテでプレーする藤本寛也は国内屈指の強豪ポルトとのビッグマッチに59分から途中出場した。いずれもチームは敗れてしまったが、随所に好プレーを見せて存在感を発揮していた。

 直近のリーグ戦でポルトガルデビューを果たしたばかりの守田は、いきなり決勝ゴールを挙げてマン・オブ・ザ・マッチに輝いていた。そして公式戦2試合連続のフル出場。すっかりダニエル・ラモス監督からの信頼を掴んだ感がある。

 現地25日のリオ・アヴェ戦ではデビュー戦にもかかわらず攻守に躍動感あふれるプレーを披露し、チームの中心となれるクオリティも証明した。ポルトガルの大手スポーツ紙『レコルド』の紙面では1部リーグ第15節のベストイレブンにも選ばれていた。

 迎えたブラガ戦では、相手のレベルが一段階上がったこともあって攻撃よりも守備における持ち味が色濃く発揮された。積極的な縦パスのインターセプト、危険なスペースを埋めるカバーリング、相手の思考を読んでのパスカット、粘り強い1対1の守備や味方へのヘルプ、被カウンターのリスクを潰す戦術的ファウルなど、守備スキルの高さは存分に見せられただろう。

最終盤に見事なアシスト

 もちろん全てのプレーが成功するわけではなく、相手の懐に飛び込んだ瞬間あっさりかわされたり、パスを読まれてカウンターを食らいそうになるなどのミスもあった。25分に先制点を奪われた際には、サイドにスルーパスが入って視線を切った瞬間、併走していたリカルド・オルタに背後を取られ、折り返しをゴールにねじ込まれてしまう場面があった。

 最終的には守田がマークを見失ったことが失点につながり、中継カメラもデビュー2戦目の日本代表MFをアップで抜いていたが、こうした駆け引きや間合いの感覚は試合を重ねるごとに磨かれていくはず。ポルトガルのサッカーに適応する時間なのは間違いなく、現段階で全てに完璧を求めるのは酷だろう。

 サンタ・クララはブラガに1-2で敗れ、カップ戦準々決勝敗退となった。しかし、守田は最後の最後にアシストという形で爪痕を残した。

 後半アディショナルタイムの96分、味方からのサイドチェンジを敵陣ペナルティエリア内右で受けると、ボールを胸でコントロールして落とし、切り返して左足でラストパス。落ち着いたボールキープからのお膳立てを受けたクライザンがゴールネットを揺らした。

 多くの時間帯で中盤のポジションを離れず守備面のサポートに力を割いていたが、最終盤にゴール前まで攻撃参加して卓越した技術とペナルティエリア内での落ち着きを披露。失点にこそ絡んでしまったとはいえ、2試合連続で交代することなく90分間ピッチに立ち続けて結果も残した。今後も中盤のキーマンとして起用されていく可能性は十分にあるだろう。

出番の確保に苦しむ藤本寛也の出来は?

藤本寛也
【写真:Getty Images】

 一方、藤本は1点ビハインドだった59分からジョアン・アフォンソとの交代でピッチに送り出された。その直後にいきなりGKを強襲するパンチの効いたミドルシュートを放った。61分には味方からの絶妙なスルーパスに抜け出して右サイドで相手左サイドバックの背後を取り、内側を併走してきたペドリーニョにラストパスを通す。フィニッシュはゴールのわずか右に外れてしまったものの、惜しいチャンスが藤本の果敢な飛び出しから生まれた。

 ジル・ヴィセンテは0-2でポルトに敗れるが、2失点した場面を除いて完全に崩されることは少なく、チームとして守備が破綻していたわけではない。しかし、今回の試合のみならず劣勢な展開を強いられることが多いチームでテクニシャンタイプの藤本がレギュラーを確保するのは容易ではない。

 これまで主に右サイドで起用されてきたのは、おそらくフィジカル的な弱みをできるだけ隠せるからでもあるだろう。左足の精度やパスセンス、技術の確かさ、インテリジェンスなどは認められているからこそ継続してベンチに入ることができているのは間違いない。

 一定水準以上のフィジカル的な強さが求められるなかでレギュラーを勝ち取るには、圧倒的な活躍で結果を残してチームに不可欠な存在になるしかない。現時点でリーグ戦の出場は8試合、うち先発起用が2試合にとどまっている藤本にとっては難しい日々がしばらく続きそうだ。

 次のポルトガルカップ準決勝ではサンタ・クララとジル・ヴィセンテを破ったブラガとポルトが対戦し、もう1つの山ではベンフィカと2部リーグ首位を快走するエストリル・プライアが激突する。日本人選手所属クラブは全て敗退してしまった。

 ここから先の後半戦は守田も藤本も、そしてポルティモネンセの安西幸輝や中村航輔、監督交代があったばかりでアピールチャンスを迎えたリオ・アヴェの食野亮太郎も、リーグ戦に集中できる。彼ら全員が来季に向けてステップアップにつながるパフォーマンスを見せてくれると期待したい。

(文:舩木渉)

【了】

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!