フェルナンジーニョという選手の価値
シティにおいては、4-3-3のシステムの中でこのポジションを任せる選手に迷う必要はほとんどなかった。ブラジル代表のフェルナンジーニョが不動の存在として君臨している。シャフタール・ドネツクからやってきたこの選手がもたらしたインパクトは絶大であり、おそらくシティにとっては最も失ってはならない選手になったといえる。
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2018/19シーズンには、負傷や出場停止でフェルナンジーニョを起用できない時期があったことで、その重要性がとりわけ明確に示された。シティに彼の不在をカバーするだけの選手層がないというわけではない。例えばイルカイ・ギュンドアンもクラブレベルと代表レベルの両方で非常に経験豊富な選手だ。だが、このドイツ代表MFが中盤の底のポジションに入ると、やはりフェルナンジーニョと比較すれば、プレーの効率が低下する部分が明らかに見て取れる。
その背後にある理由を理解するためには、まずグアルディオラの戦術システム内において「4番」に要求されるものとは何であるかを正確に把握しなければならない。この点を十分に分析するにあたって、彼のサッカーにおけるアクションを2つに分割する必要が生じてくる。守備フェーズと攻撃フェーズの2つである。守備フェーズとは試合の中で相手チームがボールを保持している時間帯のことだ。
すでに述べたように、グアルディオラのチームにおいて「4番」は純粋に守備的な機能を持つ選手ではないとしても、やはり守備面が重要な役割の一つであることに変わりはない。中盤の底に位置する選手は、DFラインと、両WGが下がってきて2人のCMFとともに形成する4人のライン間のスペースを埋める役割を担う場合が多い。一人でコントロール役を務める「4番」は、ペナルティーエリアの横幅内でポジションを移動し、相手の攻撃プレーヤーが入り込めるような空きスペースを作られてしまうのを阻もうとする。
小さなファウルがシティの戦術体系の一部に組み込まれている
「4番」は、シティが攻撃から守備へと転じる場面で、相手が素早いカウンターを繰り出すことを防ぐ際にも重要となる。この点で、特に2018/19シーズンには、フェルナンジーニョはサッカーの〝黒い技巧〞のエキスパートとして悪名高い存在となった。
相手が守備から攻撃に移る場面でボールを素早く前へ動かそうとしたところで、小さなファウルを犯してストップする場面が何度も見られた。「プロフェッショナルファウル」とも呼ばれるこのような小さなファウルがシティの戦術体系の一部に組み込まれていることは間違いない。だが、フェルナンジーニョが先発メンバーにいなければ、それを効果的に実践することができていなかった。
攻撃フェーズにおいては、「4番」は攻撃構造の起点となる役割を果たす。SBが伝統的でワイドなポジション取りをする場合でも、前線へ移動して攻撃に加わる場合でも、この起点の位置でプレーするのは最も深いポジションの「4番」一人だけとなる。
「4番」は前のポジションにいる選手を常にサポートできる位置へと移動する。このポジショニングにより、ファイナルサードの攻撃構造に自ら加わっていく適切なタイミングを選択することも可能となる。これは低いラインで受け身の守備ブロックを作ろうとするチームと戦う場合に特によく見られる動きだ。
「4番」が深い位置から動き出し、後方から攻撃に加わることで、中央のエリアにオーバーロードを作り出し、シティは堅固な守備ブロックを打開することができる。
(文:リー・スコット )
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